“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「日本は激しくプレスすれば……」
アジアの対策にU-16も屈した現実。
posted2016/10/05 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
A代表の課題は育成年代から取りかからないと手遅れになる――。
U-16日本代表を率いる森山佳郎監督の口から放たれる言葉の中に、このメッセージが何度も、そして強調されるように籠められていた。
「日本はまず守備をしっかりとやったところから、カウンターもしくはビルドアップをしなければいけないのに、イラクはその両方を潰しに来た」(森山監督)
AFC U-16選手権において、準々決勝でUAEを破って来年のU-17W杯の出場権を獲得した通称「00ジャパン」だったが、アジアチャンピオンを目指して臨んだ準決勝のイラク戦で2-4で敗れた。
イラクは日本に対して前線から果敢なプレスを仕掛けて、日本が持つパスワークを封じると、奪ったボールを素早く前線のアタッカーに繋げる。日本に守備組織を構築する時間を与えずにカウンターを仕掛けて来た。それでも前半は日本が1点リードするなど、リズムを掴んだが、後半はイラクの一向に落ちない運動量、むしろ増していく気迫の前に、徐々に飲まれていく。結果、今大会の得点王とMVPを獲得したMFムハンマド・ダウードにハットトリックを許すなど、終盤に失点を重ね、敗戦の時を迎えた。
ハイプレスもカウンターも計画通りに実行してくる。
これは2012年のAFC U-19選手権準々決勝を思い出す試合だった。U-20W杯を懸けたこの一戦で、久保裕也、大島僚太らを擁する日本は、イラクの前からのプレスと鋭いカウンターに思うようなサッカーを一切させてもらえず、1-2のスコア以上の完敗を喫した。この時、現イラクA代表の若きエースであるFWムハンナド・アブドゥッラヒームら多くのタレントがいた。
4年前と今回のイラクに共通しているのが、前線からのハイプレスも、ロングボールを軸にしたカウンターも、決して“むやみやたら”の代物ではないことだ。アブドゥッラヒームやダウードなど、アジア屈指のタレントを抱えると同時に、ボールの奪いどころと攻めどころを全員がしっかりと共有している。
そして相手の出方をしっかりと見て、的確な状況判断とキックやパスの精度、動き出しの質と早さを組み合わせて、結果に繋げていく。決して“事故”のようなプレーを待つのではなく、自ら仕掛けて主導権を握るサッカーだ。つまり、“ただ守って蹴ってくるだけ”と捉えていてはいけない。