誰も知らない森保一BACK NUMBER
「日本代表選手に訴えた“君が代をしっかり歌おう”」森保一監督が明かす、なぜ国歌で泣くのか?「最近カメラが増えて…そろそろ涙が出なくなるかも」
posted2025/12/31 11:04
NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(57歳)
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Asami Enomoto
◆◆◆
国際試合前に国歌斉唱をする伝統が生まれたのは、1905年のラグビーの試合がきっかけだったと言われている。
当時、無敗記録を伸ばしていた2カ国、ウェールズ対ニュージーランドがカーディフで対峙した「世紀の試合」と呼ばれた一戦である。
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オールブラックスが手を叩いて足を踏み鳴らす「ハカ」を披露すると、それに対抗するようにウェールズの選手たちが「ヘン・ウラド・フィ・ナダウ」(ウェールズ語で「我が父祖の土地」の意)を歌い始めた。すぐに観客たちが呼応し、スタジアムに4万人の大合唱が響き渡った。
この魂を揺さぶる出来事が他のスポーツにも伝わり、サッカーでは1950年代のW杯で国歌斉唱が本格的に始まった。それが他のAマッチでも採用され、定番の儀式になったのである。
FIFAランキング1位の国と210位の国が対戦することになっても、平等に国歌が演奏される。自国の誇りを表現すると同時に、相手国へのリスペクトを示す、世界で最もフェアプレー精神に満ちた瞬間のひとつだ。
2014年W杯開幕戦のブラジル対クロアチアでは、ブラジルの国歌斉唱が終わっても選手と観客たちは歌うのをやめず、約30秒に渡ってアカペラで大合唱を続けた。試合用の短縮版ではなく、フルバージョンを歌い上げたのである。ネイマールが目頭を抑えている場面が全世界に配信された。
「国歌の瞬間、自分に歴史が降ってくる」
そして日本代表の試合で話題にあがるのが、森保一監督の涙である。
君が代を歌いながら、森保の目に溢れんばかりの涙がにじみ、ときには斉唱後にタオルで目をぬぐうこともある。
W杯でも、アジア地区予選でも、親善試合でもそれは変わらない。テレビカメラが森保の目元を捉えるのが定番になっている。
いったいなぜ森保は国歌斉唱で涙するのだろうか?
森保はインタビューで胸の内を明かした。

