メジャーリーグPRESSBACK NUMBER

「俺は面倒くさい奴。感謝だ」妊娠中の妻と子供、ドジャースの仲間へ…LA紙が知るカーショウ引退ウラ話「彼にもう1つリングを」マンシーは予言 

text by

ジャック・ハリス

ジャック・ハリスJack Harris

PROFILE

photograph byGINA FERAZZI/Los Angeles Times

posted2025/12/27 06:03

「俺は面倒くさい奴。感謝だ」妊娠中の妻と子供、ドジャースの仲間へ…LA紙が知るカーショウ引退ウラ話「彼にもう1つリングを」マンシーは予言<Number Web> photograph by GINA FERAZZI/Los Angeles Times

今季限りでの引退を発表した感情のこもった記者会見。カーショーは感謝の気持ちを述べるなかで、そばにいて支えてくれた人たちを指さしながら名前を挙げた

 集まった報道陣に、試合後のインタビューで(最近は減ったとはいえ)ぶっきらぼうな答えが多かったことに「我慢してくれてありがとう」と感謝を伝えた。

 彼はこのタイミングでの引退は「正しい決断」だと繰り返した。

「誰だってひどい投球はしたくないからね」

ADVERTISEMENT

 レギュラーシーズン最後となる金曜日の本拠地での先発について訊かれると、彼は無表情でこう答えた。「いいピッチングをするつもりだよ」と。そして、首位ドジャースは(ワイルドカードを争う対戦相手のサンフランシスコ・ジャイアンツもまた)まだ重要な試合が続いていることを指摘した。

「(雰囲気は)盛り上がるだろうけど、俺には仕事があるからね。だからマウンドに上がって、やるべきことをやらないと」

年をとるごとに、どんどんに大切に思えてきたよ

 だが、今シーズンは何が特別なのかと再び問われると、カーショウはまたしても感傷をのぞかせた。

「ただ、ほんとにすごい仲間たちなんだ──今日もここにみんな集まってくれて、それはすごく意味のあることで──俺たちはみんなで支え合ってるんだと思う。誰だっていつもうまくいくわけじゃない。それをほんとに理解できるのは、クラブハウスにいる仲間たちだけだ。野球は難しいゲームだよ。簡単じゃない。だからそこに仲間がいて、互いを理解しながら一緒に戦えて、いつもめちゃくちゃ楽しめるってことは、すごく大切なんだ。年をとるごとに、それがどんどん大切に思えてきたよ」

 やがてカーショウはシーズンの残りに集中しようと話を切り替え、「あと1カ月くらいみんなと戦えることに感謝している」と口にした。

 その後の彼の計画はシンプルだ。テキサスの自宅で、子どもたちのリトルリーグの練習やダンスの発表会など、諸々の活動で日々の予定が埋め尽くされることになる。

「しばらくはそういう日々を送るつもりだよ」と彼は言った。

マンシーが“予言”していたこと

 だがまずは、物語のような最終シーズンを、物語のような最終章で締めくくりたいと思っている。自分のタイミングでマウンドを去るだけでなく、もう1つのチャンピオンリングとともに去りたいと願っている。

「これ以上のモチベーション・アップが必要かわからないけど」と三塁手を務める長年のチームメイト、マックス・マンシーは語る。

「でももちろん、彼が去る前にもう1つリングを獲れたら最高だよ」

〈つづきは下の【関連記事】へ〉

#1から読む
「金満球団。野球を台無し」“嫌われたドジャース王朝”の本質は大谷翔平でも“中0日”山本由伸でもなく「仲間と…特別なんだ」マンシーがポツリ
この連載の一覧を見る(#1〜8)
#8
「俺は面倒くさい奴。感謝だ」妊娠中の妻と子供、ドジャースの仲間へ…LA紙が知るカーショウ引退ウラ話「彼にもう1つリングを」マンシーは予言
#7
「内容もひどくない」なぜカーショウ37歳は“速球145キロ未満”に衰えてもドジャースの窮地を救ったか…引退に涙フリーマン「それでも史上最高だ」
#6
グラスノー興奮「ロウキ、信じられない」LA紙が知る佐々木朗希“リリーフ覚醒”舞台裏「9月8日、ホテルの一室で」「シャイな青年が…さらけ出した」
#5
「ヤマに“負けるという選択肢はない”」ロバーツ監督もカーショウもフリーマンもドジャースOBも山本由伸に感嘆「この上なく特別」LA紙が聞いた話
#4
LA紙「ヤマモトは圧倒的。傑出した才能」ドジャース伝説エース「達人だ」“完投絶滅”の常識を破った山本由伸…MVP快投は米国でどう報じられたか
#3
「大谷翔平が疲労困憊」「WS敗北まで2死」“究極の試練”でドジャースが奇跡を…「ロハスのように報われるんだ」LA紙に語ったフリーマンらの本音
#2
「ベッツは過小評価された」「あれだけ苦しんだロウキが」不調でもドジャース有能編成、マンシーが擁護…LA紙ズバリ「結束は陳腐な美談ではない」
#1
「金満球団。野球を台無し」“嫌われたドジャース王朝”の本質は大谷翔平でも“中0日”山本由伸でもなく「仲間と…特別なんだ」マンシーがポツリ

Los Angeles Times

 アメリカ最大規模の日刊紙。1881年創刊。142年以上にわたって地元南カリフォルニア地域を中心に取材を行い、政治や社会、文化、スポーツなどの記事を精力的に報道。優れたジャーナリズムに対して贈られるアメリカで最も権威のある「ピューリッツァー賞」を何度も受賞している。ウェブサイト(latimes.com)のユニーク訪問者数月間4000万人以上、日曜版の読者数160万人、紙版・電子版の週間読者数合計440万人を誇る。

児島 修(こじま・おさむ)

 英日翻訳者。訳書に『OHTANI'S JOURNEY 大谷翔平 世界一への全軌跡』(サンマーク出版)、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)、『ペドロ・マルティネス自伝』『ダン・カーター自伝 —オールブラックス伝説の10番—』(東洋館出版社)、『ウルトラランナー: 限界に挑む挑戦者たち』(青土社)など。

関連記事

BACK 1 2 3
#ロサンゼルス・ドジャース
#デーブ・ロバーツ
#フレディ・フリーマン
#クレイトン・カーショウ

MLBの前後の記事

ページトップ