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「俺は面倒くさい奴。感謝だ」妊娠中の妻と子供、ドジャースの仲間へ…LA紙が知るカーショウ引退ウラ話「彼にもう1つリングを」マンシーは予言
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ジャック・ハリスJack Harris
photograph byGINA FERAZZI/Los Angeles Times
posted2025/12/27 06:03
今季限りでの引退を発表した感情のこもった記者会見。カーショーは感謝の気持ちを述べるなかで、そばにいて支えてくれた人たちを指さしながら名前を挙げた
ドジャースのオーナー、マーク・ウォルターとトッド・ベーリー、球団フロントである編成本部長のアンドリュー・フリードマン、GMのブランドン・ゴームス、球団社長スタン・カステン、チーフ・マーケティングオフィサーのロン・ローゼン、
そしてもちろん、ロバーツ監督をはじめとするコーチ陣とトレーニングスタッフへ。
「自分がときどき面倒くさい奴だってことはわかってる。だから我慢してくれてありがとう」とカーショウはジョークを飛ばした。
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「5日ごとにこの体をマウンドに送り出してくれてありがとう」
なくなって辛いのは、みんなと勝利を喜ぶこと
汗のにじむ「LA」キャップの下から彼の穏やかな笑みが消えたのは、チームメイトに向けて語り始めたときだった。声が震え、目には涙が溢れた。
「一番辛いのはチームメイトへの言葉だ。だからみんなの顔は見ないことにする。この部屋にいるみんなは俺にとってほんとに大切な存在だ。楽しいことがたくさんあった。それがなくなるのは寂しい。みんなと一緒にウェイトルームでトレーニングしたり、変な音楽を聴いたりするのがなくなるなんて。『上半身裸の日曜』とか、そういう全部が懐かしくなるよ」
「試合自体もすごく恋しくなるだろうけど、それはなくてもやっていける」と言って、こう言葉を継いだ。「なくなって辛いのは、勝った後の気持ちとか、みんなと勝利を喜ぶことだと思う。あれはほんとに特別なんだ」
「よし」と、彼は気持ちを落ち着かせようとしながら話を続けた。
「この話はおしまいだ」
妊娠中の妻、子供に「我慢してくれてありがとう」
次に、カーショウは4人の子どもたちと、現在5人目を妊娠中の妻のほうに顔を向けた。妻エレンからのメッセージを読み上げ、スタンドの“特等席”からカーショウの18年を見守ってきた彼女の経験を紹介した。
「彼女は本当に辛い敗戦にも、本当に信じられないような節目にも涙を流してきた。子どもたちが野球や選手、俺のピッチングに夢中になるのを見てきた」
それから、「心を込めて」働くことに関する聖書の一節を読み上げると、カーショウの声は再び震え始めた。
「ちっとも悲しくないんだ、本当に」と彼は言い張った。
「穏やかな気持ちだよ。感情がこみ上げてきて。こらえようとはしたけどね」
記者たちからの質問を受け始めると、カーショウはいつものウィットに富んだ姿を見せた。

