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「大谷翔平が疲労困憊」「WS敗北まで2死」“究極の試練”でドジャースが奇跡を…「ロハスのように報われるんだ」LA紙に語ったフリーマンらの本音
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ジャック・ハリスJack Harris
photograph byGINA FERAZZI /Los Angeles Times
posted2025/12/22 06:04
死闘となったワールドシリーズ第7戦を制し、歓喜に沸くドジャースナイン。その中で大谷翔平がトロフィーを掲げる
前夜に肋間筋の負傷を悪化させ、第7戦の出場すら危ぶまれた男が、奇跡の同点弾を放ったのだ。
「真摯に試合に臨み、人を大切にして、ミゲルのように仲間思いでいれば──さっきもそんな話をしたんだけど──試合の中で必ず報われるんだ」と、一塁手のフレディ・フリーマン。
「このチームの勝利のためなら、彼はできる限りのことをなんでもやってくれた」
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そこからドジャースは、山本にマウンドを託す(この夜4人目となる先発投手)。そして彼は、投手史上最高額の契約でも想像できなかったような偉業を成し遂げる。第6戦で96球を投げた後、中0日で再び登板し、2回と3分の2を無失点に抑えたのだ。
「とても評価なんてできないよ」と、フリードマンは言った。
「これは、あらゆるスポーツの中でも最高の優勝パフォーマンスの1つとして歴史に刻まれるだろう」と、マーク・プライアー投手コーチが付け加えた。
そして、スター選手を集めたチームの中で数少ない生え抜きの1人ウィル・スミスが、延長11回に決勝ホームランを放った。
「彼は、これまでチームが築いてきた成功の多くを体現している」と、フリードマンは語る。
「スカウトや選手育成のプロセスが、いかにうまく連携しているか。彼がメジャーの舞台で見せた活躍とインパクトこそが、その証だ」
完璧なエンディング…それを誇りに思うよ
その瞬間にふさわしく、ショートのベッツがゴロをさばき、ダブルプレーで優勝を決めた。
「今シーズン、ショートとして彼が見せた驚くべき活躍を締めくくる、まさに完璧なエンディングだった」とフリードマンは語った。
そのすべてが、マンシーが誇らしげに語ったように、ドジャースが大切にしてきたチームの精神を映し出している。それは、どれほど多くの資金を投じようと、帳簿や年俸リストには決して記されない無形の価値だ。
「これこそが、みんなで築き上げてきたものだ」と、マンシーは言う。
「それを一番、誇りに思うよ」
「最後まで諦めず、戦い抜いた」と、デーブ・ロバーツ監督も語った。
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Los Angeles Times
アメリカ最大規模の日刊紙。1881年創刊。142年以上にわたって地元南カリフォルニア地域を中心に取材を行い、政治や社会、文化、スポーツなどの記事を精力的に報道。優れたジャーナリズムに対して贈られるアメリカで最も権威のある「ピューリッツァー賞」を何度も受賞している。ウェブサイト(latimes.com)のユニーク訪問者数月間4000万人以上、日曜版の読者数160万人、紙版・電子版の週間読者数合計440万人を誇る。
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。訳書に『OHTANI'S JOURNEY 大谷翔平 世界一への全軌跡』(サンマーク出版)、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)、『ペドロ・マルティネス自伝』『ダン・カーター自伝 —オールブラックス伝説の10番—』(東洋館出版社)、『ウルトラランナー: 限界に挑む挑戦者たち』(青土社)など。

