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ダルビッシュ有「投げないならお金は受け取れない」アメリカ人には分からない“これぞ侍”仕事の流儀「自分の報酬を強化資金に」どデカいチーム愛
posted2026/02/15 06:01
ダルビッシュの“侍のような心意気”は契約社会のアメリカでは理解されづらい?
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph by
Getty Images
昨年10月に右肘手術を受けたパドレスのダルビッシュ有投手。3月のWBCにのぞむ侍ジャパンのアドバイザー役として宮崎合宿にも参加中のレジェンド右腕はこのオフ、思わぬ騒動の渦中の人となった。“引退騒動”はなぜ起こったのか。ダルビッシュが抱くチームへの思い、日米の価値観の違いなど、興味深いその背景をMLB担当・山田結軌記者が考察する。〈全2回の後編/前編も公開中です〉
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ダルビッシュは42歳を迎える2028年まで契約が残っている。今回の右肘手術でメジャー復帰できるとしたら、最短で27年シーズン。現状、残る契約期間は本人の希望で「契約破棄」を求めている。
この「契約破棄」が、イコール「引退の意向」と誤解を生んだ。では、なぜ残っている契約をわざわざ破棄したいのか。3年間で4600万ドル(約73億円)が保障される報酬を放棄することは、米国内では理解の難しい考えだ。
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メジャーで投げられないから、お金は受け取れません、という意思は日本人にはチームを思っての“美談”に聞こえる。しかし、一般的にその思考は欧米人には文化的に共感することが難しい。この複数年契約は、自分で勝ち取ったものだ、だから仮に怪我で投げられなくても受け取るべき報酬だ、と。
自分の報酬をチーム強化資金に…
パドレスのために貢献したい。ダルビッシュには、そんな強い思いがある。それは、37歳シーズンで結んだ異例の6年契約にも表れていた。2023年から6年1億800万ドル(約170億円)で契約を延長した。もともと、契約は3年1億ドル(約158億円)がベースだった。しかし、総額はそのままに、契約期間を延ばすことができれば1年あたりの平均年俸を低く抑えることができる。そうすれば、チームの補強費に回せる資金が捻出できる、というわけだ。チーム強化を望む球団幹部とダルビッシュの双方が納得して、6年1億ドル規模の契約に落ち着いた、という経緯がある。

