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「大谷翔平が疲労困憊」「WS敗北まで2死」“究極の試練”でドジャースが奇跡を…「ロハスのように報われるんだ」LA紙に語ったフリーマンらの本音
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ジャック・ハリスJack Harris
photograph byGINA FERAZZI /Los Angeles Times
posted2025/12/22 06:04
死闘となったワールドシリーズ第7戦を制し、歓喜に沸くドジャースナイン。その中で大谷翔平がトロフィーを掲げる
「まさに、こうした力こそが、このチームを本当に強くしているんだ」と、ロハスは語る。
「全員が日々全力を尽くしている。そしてどんな状況でも、過去を引きずらず、今この瞬間に集中している」
大谷被弾、敗北まであと2死…究極の試練が
第7戦は、まさに究極の試練となった。
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序盤の3回、ドジャースはボー・ビシェットのスリーランで先制を許し、ロジャース・センターは割れんばかりの歓声に揺れた。休む間もなく先発した大谷翔平は疲労の色が濃く、チームはもう彼に頼ることができなかった。反撃しなければならないドジャースは、終始リードを許したまま9回へ突入。敗北という結末で幕を下ろすまで、あとアウト2つのところまで追い詰められた。
「とにかく諦めずに、前を向いて戦い続けたんだ」と、マンシーは言う。
「希望を捨てなかった仲間たちを、本当に誇りに思うよ」
諦めるほうが、よほど簡単だったに違いない。この2年、ドジャースは過酷なシーズンを送っていた。ポストシーズンを最後まで戦い抜き、海外でシーズン開幕を迎え、さらにオフシーズンの大型補強による重圧が日々のしかかっていた。チームの燃料タンクは、すでに空に近かった。結局のところ、どれほど才能ある選手を集めても、それだけでは長くはもたないのだ。
「このチーム、この組織、そしてここにいる全選手にとって、長い道のりだった」と、ロハスは第6戦の前に語った。
「とにかくストレスがたまって、みんな精神的に疲れ切っている」
だが、そんなときこそドジャースの文化が真価を発揮する、とマンシーは言い切る。
「すべてはチームのため。自分のことは後回しでいい」と、彼は言った。
「ベンチに戻ると、みんな口々にこう言うんだ。『よし、ナイスイニング。なんとかつなげよう。誰か塁に出よう。まず1点取ろう』。そういう姿勢こそが、すべてなんだ」
ロハス同点弾、由伸の中0日「必ず報われるんだ」
そしてついに、ドジャースは最も必要とされた瞬間に、最も劇的なプレーを生み出した。
9回表1アウト。その打席に立ったのは、ほかならぬミゲル・ロハスだった。

