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「ウチに来る可能性は低いと思った」ヤクルト一筋20年で今季引退…元首位打者が「和歌山の公立高校」を選んだ“意外なワケ”は? 恩師が語る当時の秘話
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2025/12/09 11:00
今季限りでの現役引退を発表したヤクルトの川端慎吾。2015年には首位打者も獲得した「プリンス」の原点だった高校時代とは?
9月末の正式発表前、真鍋氏は本人から引退の旨の連絡をもらっていたという。
「正直、(本人は)まだやれると思っていたようで、『お前、ホンマにそれでいいんか?』とは言いました。でも、球団からコーチとして残ってもらいたいという話があって、本人は若手を教えたいという思いもあったようですね。それならば頑張れよと言いました。
ただ、僕との約束を守らなければならなかったというコメントを残してくれていて、僕としてはそうコメントしてくれたのは嬉しいですけど……やっぱり寂しいですよね。彼としてはあと2年、やりたかったというのはあったと思います。40歳までやるということにすごくこだわりを持っていましたから」
「ウチに来る可能性は低い」はずが…なぜ公立校に?
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真鍋と川端の出会いは約25年前にさかのぼる。
川端は中学生当時から地元の大阪府貝塚市界隈では走攻守三拍子揃った遊撃手として有名だった。軟式野球で国体出場経験のある父のもとで小学校2年から野球をはじめた川端は、中学時代は狭山ボーイズでプレー。50m走を5秒台後半で駆ける快足とシュアな打撃が売りだった。
有望な中学生がいれば、当然関西圏の強豪私学からの勧誘合戦が激化する。だが、真鍋氏は当時、中学生を直々に見に行くことはなかった。
「慎吾の噂は聞いていたんですよ。でも、1度や2度見ただけでウチに……と判断するのはその選手に申し訳ないというのがあったんです」
だがある日、川端が父と一緒に市和歌山商の練習を見に来たことがあった。真鍋氏からすればとてもありがたかったが、これだけ名のある選手。「他の強豪校からの誘いがたくさん来ているだろうし、ウチに来る可能性は低い」と感じていたという。

