兄との比較は「つらいと思ったことはなくて…」清宮幸太郎の弟・福太郎に聞く“大学で野球を辞めるワケ”「いつかは諦めなきゃいけない時がくる」 

　1年間、野球から離れていたが、転機がやってくる。小2のときに兄の幸太郎がリトルの大会で世界チャンピオンになるのだ。

「母がアメリカに兄の応援に行ったんですが、自分を置いていくわけにはいかず、一緒にアメリカまで連れていかれました。そこで自分が感動してしまって。こういう舞台に立ちたいと思った。それで野球を小3からまた始めました」

2012年リトルリーグ世界選手権に出場した清宮幸太郎（当時中1）。豪快なホームランだけでなく、ピッチャーとしても活躍した　©︎Getty Images

　北砂リトルでは、憧れた兄同様に世界大会に出場。そして調布シニア、早実と兄と同じ道を歩んでいく。

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　幸太郎は早実では1年の夏に甲子園に出場。チームの主砲としてベスト4に勝ち上がる原動力になると、3年時のセンバツにも出場した。プロ球界からも高い評価を受け、大学に行くのか高校から直接、プロに行くのかに注目が集まった。

「両親と兄は家族会議をしていましたが、自分はまだ中学2年生だったので、その会議には加わっていないんです。なので過程は知らないですが、なんとなく高校から直接プロに行くものだと思っていました」

　結局、幸太郎はドラフト会議で7球団から1位指名を受け、日本ハムに入団することになる。だが、かように福太郎は兄のドラフト狂騒曲からは若干、蚊帳の外ではあった。

早実時代は「コロナ禍」での不遇も経験

　2019年に早実高等部に進学すると、翌20年にコロナ禍に見舞われる。練習さえ満足にできない不遇な高校時代を送ることになる世代だった。高校では「4割ぐらいしか野球をできなかった」印象だという。

「ぜんぜん、満足感はなかったですね。甲子園に行けなかったことが一番の理由ですが、コロナもありましたし、不祥事もあった。体は元気なのに活動できない期間が長くて。その時代じゃなかったら、違った高校3年間だっただろうな……と考えたことはありました」

　3年時にはキャプテンとしても苦心した。同期が30人と早実としては珍しく、人数の多い世代だった。

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