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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「仙台育英エースはなぜ指名漏れ?」「オリックスの“高校生押し”は後々、怖い」ベテラン野球記者が聞いた敏腕スカウトたちの“ドラフト大反省会”
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byYuki Suenaga
posted2025/10/30 17:02
今年も様々なドラマを生んだドラフト会議。果たしてスカウトたちの「反省会」では何が語られたのか
「オレ、小深田、2位でも獲れたんじゃないですか……って言って、叱られたことあるわ、楽天の人に」
叱られた内容とは、このようなことだったそうだ。
「確かに2位でも獲れたかもしれない。でも…」
「いや、確かに2位でも獲れたかもしれないさ。でも、もし獲れなかったら、どうするの? 2位のウチの番までに、もしよそに獲られたらどうすんのよ。あの年は現場からのリクエストは『佐々木朗希じゃなかったら即戦力の内野手がどうしても欲しい』ってことだった。
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そう言われたら、何がなんでも獲ってこなきゃいけないのがスカウトってもんなんだよ。新聞が何言おうが、ファンに何言われようが、何がなんでも獲る。だから、1位・小深田だった。他に目ぼしい内野手もいなかったしね。もし、よそに小深田を獲られていたら、それはスカウトがなんの仕事もしなかったってことなんだよ」
そんな指導を受けて、目からうろこが落ちたという。
「ドラフトってなんだ? 補強ってなんだ? というのを、漠然とわかっていたつもりだったけど、目の前のモヤモヤがパッと消えたような気がした。いい勉強させてもらったわ」
1年目から「遊撃手」のポジションに定着して、俊足に広い守備範囲、打率も.288をマークした小深田大翔選手。その後も、23年には盗塁王、24年にはゴールデングラブ賞を獲得。
村林一輝選手が台頭してくると、今度は二塁手に転じて、常に9割9分台の守備率で、投手が「打ち取った!」と思った打球は全てアウトにしてくれる内野手として、チームに不可欠の存在になっている。

