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「投手力で敗れた巨人…快腕を“大量指名”予想」「佐々木麟太郎指名は…“やはり”のオリックスか」ドラフト全指名予想《巨人・オリ・DeNA編》
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byGetty Images
posted2025/10/21 11:03
スタンフォード大の佐々木麟太郎(184cm113kg)の指名はあるか
近年の巨人のドラフトは徹底している。投手なら投手を徹底的に獲る。腹をくくった「攻めのドラフト」。あれもちょびっと、これもちょびっとでは、補強ではなく、「補充」にしかならない。
というわけで今季は、即戦力狙い、将来性狙い。投手が並んだ。
3位・増居翔太(トヨタ自動車)に、6位・木村駿太(北海学園大)だって即戦力を期待しての指名だ。
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増居投手は「小さな本格派左腕」だ。ならば、タイプとしては、ヤクルト・石川雅規投手だろう。スライダー、チェンジアップ、スプリットという変化球間の緩急で追い込んでおいて、140キロ後半の速球で料理する。3球で追い込める制球力は、きびしいコースを続けられるプロ仕様のレベル。阪神のルーキー・伊原陵人投手の活躍も、ドラフト的には追い風になろう。
145キロ前後のクロスファイアーで打者を圧倒しながら、スライダーとチェンジアップで打ち取るスタイルの木村投手。テークバックがクネクネッとする一瞬の間がタイミングの難しさになって、カーブでサッと初球ストライクがとれるのもアドバンテージ。共に、今の巨人投手陣にいない球筋のしっかりした左腕だ。
高卒組から「将来の大器」もしっかり指名
2位・森陽樹(大阪桐蔭高)、5位・窪田洋祐(札幌日大高)……やや心細くなってきた「将来の大器」が2人獲れたのも大きい。
大阪桐蔭高入学当時から将来を嘱望されていた森投手の能力開発率は、現状「50%」と見ている。雄大な体躯、18歳でアベレージ145キロ前後を投げるエンジンの大きさ、大きな故障をしていない素のフィジカル。本人の自分を鍛え上げる意志次第で、球界を代表するような大きな存在になれる可能性を秘める。
持っているスケールでは、窪田投手も決して負けていない。これだけの恵まれた体格だ。スピードを欲しがって、一時力任せになりかけたが、指導を受けて軌道修正。目の前の打者をやっつける本来の意味に立ち返って、ピッチングが安定してきた。プロの食事とトレーニングに励めば、力まなくたってアベレージ150キロはすぐだろう。高校時代の投打二刀流の「一刀」は、しばらく押し入れにしまっておくことになろう。
あまり目立っていないが、今年のチーム盗塁「53」は12球団ワースト。これにはちょっと驚いた。
そこで唯一、野手の指名は、4位で・松川玲央(城西大)となった。
この快足の遊撃手だって、今秋リーグ戦中の右ヒジ故障がなかったら、おそらく3位指名の真ん中あたりまでに、他球団に持っていかれていた選手だ。ライナー性の長打力と50m5秒台の快足で「スリーベースメーカー」の未来予想図も描ける。
