マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「今年の西武は“投手の年”のサイクル?」「最下位脱出の中日は『任せて安心』の本格派右腕をドラ1で」ドラフト全指名予想《西武・中日・楽天編》
posted2025/10/21 11:02
指導する亜大の監督も「任せて安心」と太鼓判を押す斉藤汰直(亜細亜大・182cm84kg)
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Shigeki Yamamoto
今年の西武ドラフトは「投手の年」?
【埼玉西武ライオンズ 2025年ひとりドラフト指名選手】
× 中西聖輝 21歳 投手 青山学院大 182cm90kg 右投右打
(巨人との抽選に敗れる)
× 岩城颯空 22歳 投手 中央大 180cm88kg 左投左打
(ヤクルトとの抽選に敗れる)
1位 藤原聡大 22歳 投手 花園大 178cm75kg 右投右打
2位 櫻井ユウヤ 18歳 内野手 昌平高 181cm91kg 右投右打
3位 早瀬朔 18歳 投手 神村学園高 185cm78kg 右投右打
4位 阿部雄大 25歳 投手 ENEOS 183cm90kg 左投左打
5位 松延響 18歳 投手 鳥栖工高 178cm80kg 右投右打
6位 垣内凌 18歳 外野手 浦和学院高 181cm78kg 右投左打
【埼玉西武 総評】
ADVERTISEMENT
西武ライオンズのドラフト指名傾向を見ると、ある一定の規則性のようなものが見える。
1位・隅田知一郎以下、4位までに3投手を指名した2021年。翌2022年には1位・蛭間拓哉以下、3位まで野手を指名した。一転、2023年には武内夏暉以下、5位までが投手を占め、昨年2024年は、齋藤大翔、渡部聖弥の1、2位だった。
ならば、今年は「投手」の年だ。
高橋光成投手のFA、再来年には今井達也投手のFAという現実も近づいている。
繰り上げ1位は「大学初のプロ選手」の快腕
今秋リーグ戦終盤に発症した右ヒジの炎症が回復すれば、1年目から10勝前後も見込める中西聖輝(青山学院大)を逸し、隅田、武内に続く「3枚目の左腕」として期待できる岩城颯空(中央大)を逃したのは痛かったが、それでも、繰り上げ1位で藤原聡大(花園大)が残っていたのは「奇跡」に近い。巨人、阪神が少なくとも「繰り上げ1位」で、ひょっとしたらいきなり1位指名もある……と読んでいた快腕だ。
リリーフの後半に投げることの多かった今秋の藤原投手。3イニング前後の投球ならコンスタントに150キロ台をマークしながら、タテのスライダー、フォークの動きも激しく、打者を圧倒する投げっぷり。高校時代は遊撃手が本業、伸びしろも十分。花園大から初のプロ野球選手誕生を「1位指名」で飾った。
2人飛んで、先に4位・阿部雄大(ENEOS)。この左腕の方が「即戦力」という意味では先かもしれない。
バリバリの大卒腕利きが毎年何人も加入してくる強豪社会人チームで、高校(酒田南高)から入社して7年間の熾烈なサバイバル。よく頑張った。そこから掴み取ったエースの座で、都市対抗野球でも本領発揮の見事なピッチング。145キロ前後の速球を間に挟みながら、変化点の近いスライダー、チェンジアップ、フォークで打者のスイングを崩す。7年間辛抱した心身の強さも期待大だ。フルスイング主流の今のプロ野球で、いちばん働き場所のあるサウスポーだ。
