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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「ここに入れ!」39歳のダルビッシュ有が洗濯カゴに入れられて…日米通算204勝達成で主砲・マチャドが仕掛けた「ケチャップまみれ」祝福秘話
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/09/08 11:00
ダルビッシュとマチャド、2人の関係は特別だ
ダルビッシュがケチャップまみれに?
ビールだけでは終わらなかった。誰かが食堂に走り、ケチャップやマスタードなどの調味料を運び出し、それも浴びせた。一連のセレブレーションの間、メディアは別室で行われるシルト監督の試合後会見のため待機している。だから、クラブハウス内の大騒ぎは聞こえない。監督会見の後、クラブハウスがメディアに解放されたころ、ダルビッシュはすっかりシャワーを済ませていた。先発日の“勝負服”である義兄・山本“KID”徳郁さんのプリントTシャツに着替え、黒の帽子をかぶるいつものスタイルで取材を待っていた。
「Only 200?(まだ200勝ちょっとか)」
日本メディアへの質疑応答時、マチャドはニヤニヤしながら取材の輪に近づき、コメントを投げかけた。もちろん「Congrats(おめでとう)」の祝福も忘れていなかった。
「王者を倒す」本気のパドレス
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前半戦の終わり、オールスター前にダルビッシュが復帰し、ドジャースの追撃態勢が整った。パドレスは7月末のトレード期限までに総勢22選手が入れ替わる5件の大トレードを成立させた。8月を前にナ・リーグ西地区首位、ドジャースとは3ゲーム差。本気で王者を倒し、地区優勝する。AJ.プレラーGMら、フロントの強烈なメッセージだった。
そして、パドレスは7月3日時点で9ゲーム差あった順位を逆転。8月15日からドジャースタジアムで始まる3連戦を前に首位に立った。しかし、3連敗で首位陥落。リベンジを期した3連戦は、同22日から行われ、その初戦にダルビッシュが先発した。
6回1安打1失点で勝利投手(3勝目)。エースの復活に加え、選手たちが士気を上げ、団結を強めたシーンがあった。2−1とパドレスがリードした八回2死三塁。マチャドは、遊撃右へのゴロを打ち、一塁にヘッドスライディングした。その姿を見ていたダルビッシュには、込み上げる感情があった。〈つづく〉

