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《夏の甲子園番付2025》暴力問題で辞退・広陵「1勝0敗」と休部PLに高校野球の闇が潜むが…沖縄尚学が大出世、公立の県岐阜商は東関脇に肉薄
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama/Kou Hiroo
posted2025/08/24 17:02
2025年大会を終えての「夏の甲子園・勝利数番付」。沖縄尚学の優勝、県岐阜商の躍進……どんな変化が起こった?
沖縄尚学は今夏6勝…番付外から大出世
〈十両、幕下〉
東十両では聖光学院が4年連続出場ながら、勝ち星を増やせず。この番付では同じ勝利数の場合、先にその勝利数に到達したチームを「上位」にしている。同じ勝利数の星稜を抜いて新入幕するまでに必要なのは「あと1勝」なのだが。古豪・北海も初戦敗退。
幕下筆頭だった関東一は今夏2勝して新十両に。重量だった敦賀気比は今夏も出場したものの初戦敗退したために幕下へ。前年三段目筆頭だった花巻東は1勝して幕下に昇格した。
西十両・東洋大姫路はベスト8に進出し、番付を2枚上げた。そして夏初優勝の沖縄尚学は昨年まで通算10勝で、三段目にも入らない番付外だったが、6勝を積み上げて一挙に幕下7枚目までジャンプアップの大出世を果たした。
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このクラスは同じような勝利数の学校がひしめいている。優勝すれば十両くらいまでは、駆け足で上がることができる。ただしその上は厳しいのだが――。
〈三段目〉
東は金足農が出場しただけで、優勝を果たす沖縄尚学相手に初戦敗退した。
西は7校が出場した。西日本短大附は、2勝を挙げて番付を8枚上げた。そして京都国際は昨年の優勝校。一昨年の時点では通算3勝で番付外だったが、昨年6勝、今夏も2勝を挙げて、三段目に顔を出した。こうした新興校が上位に上がるには、長い年月がかかることになる。
広陵、酷暑、公立校の退潮…問題は数多くあるが
なお西前頭6の広陵は1勝を加えるも、高校球界を揺るがす暴力事件で異例となる大会中の出場辞退。不戦敗になったとはいえ、優勝チーム以外に甲子園での試合は不敗――つまり「1勝0敗」のまま終わるのは極めて異例だ。
この番付は、1915年に始まり、110年、107回を数える選手権大会の「歴史」を物語っている。この間には太平洋戦争があり、1941年から45年まで大会は開かれなかった。酷暑の夏問題、暴力問題、さらには公立高校の退潮、学校間の格差の広がりなど、高校野球は多くの闇を抱えている。番付のアップデートのためには、高校野球自身もアップデートすることが求められている。〈甲子園特集:つづく〉


