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「有望な中学生は県外に流出してしまう…」“甲子園から消えた”名門公立校の今「100人いた野球部員が15人まで減少」「僕らは箕島を残せるのか…」
posted2025/08/24 17:01
和歌山県立箕島高校のグラウンド。春夏合わせて4回甲子園優勝している
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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「きついです。本当にきついです」
1970年代から80年代前半にかけて甲子園を席巻した箕島高校野球部現監督の北畑清誠は、絞り出すようにそうつぶやいた。かつての名門校が直面しているのは部員数の激減という厳しい現実だ。最盛期には約100人いた部員が、2023年の秋には12人まで減少。今年は夏の県大会前の時点で23人。そして3年生が引退すれば、わずか15人になる。
「勝つよりも、まず存続」と語る北畑監督
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箕島高校の苦境は野球部だけではない。学校全体の生徒数の減少も深刻だ。2014年に240人いた新入生が、2025年には89人まで落ち込んだ。定員160人に対して70人も割り込む状況に、北畑監督は危機感を隠さない。
「勝つというよりも、まず存続。僕らは箕島を残せるんだろうか、という危機感はあります」
有田市の人口は1980年の3万5683人をピークに、2020年には2万6538人まで減少。少子高齢化が進み、14歳以下の人口は30年で6569人から2769人へと半分以下になった。近隣の中学生や保護者は進路面でのアドバンテージがある耐久高校を選ぶ傾向にあり、箕島の普通科系の志願倍率は0.74、専門学科系に至っては0.35という厳しい数字を突きつけられている。
「学校としての活気もなくなってきますよね。39年連続でインハイに出ていたソフトボール部の部員はゼロになって休部状態。ホッケー部も全国レベルでしたが、いまは4人しか部員がいない」
野球でも有望な中学生たちは私立の強豪校へと流れ、北畑監督は選手集めに奔走する日々を送る。
「まず私学に行ってしまう。このあたりからも、大阪桐蔭、報徳学園、尽誠学園とか、県外に進む。北陸に行くという子もいました。奈良の智弁学園や天理、京都国際を選んだ子もいます」
それでも北畑監督は、厳しい練習を通じて箕島の伝統を守ろうとしている。北畑は繰り返し選手たちに伝える。
「普通の高校じゃないよ。箕島だよ、箕島なんだよ」
公立高校で唯一の甲子園春夏連覇という輝かしい歴史を持つ箕島高校。
現監督と部員たちの本音は、本編でさらに詳しく描かれている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
