プロ野球PRESSBACK NUMBER
阪神独走を支える“育成の方法論”とは? 森下翔太ら「大卒即戦力」補強と「少数精鋭に12球団最多の実戦機会」…成功の理由と懸念
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/04 17:05
森下翔太ら即戦力選手がチームを支えて今季独走する阪神。高卒野手が育たない問題はあるものの、全体の育成戦略は成功していると言えるだろう
総試合数×12÷全選手数=選手一人あたりの試合数。これで、2022年を計算してみると、阪神がトップなのだ。
阪 神 43.6(総試合数269 支配下66 育成8)
オリックス 43.0(総試合数294 支配下65 育成17)
西 武 42.4(総試合数272 支配下63 育成14)
広 島 41.9(総試合数262 支配下66 育成9)
ソフトバンク 41.8(総試合数362 支配下66 育成38)
ロ ッ テ 40.4(総試合数256 支配下65 育成11)
ヤクルト 41.2(総試合数254 支配下67 育成7)
中 日 41.1(総試合数260 支配下65 育成11)
巨 人 39.4(総試合数332 支配下66 育成41)
D e N A 38.6(総試合数260 支配下65 育成11)
日本ハム 36.8(総試合数242 支配下66 育成13)
楽 天 36.7(総試合数257 支配下68 育成16)
※選手の内訳は2022年2月1日キャンプイン時点
ソフトバンクは組まなければいけない試合数が多い
ソフトバンクは、2023年から4軍制へ拡大している。
ADVERTISEMENT
2025年の開幕時点でも、支配下64、育成54の118人体制。3、4軍の“非公式戦”では、独立リーグ・四国アイランドリーグプラスとの定期戦、韓国への海外遠征も組むなど、各人の実戦機会を減らさないために数々のプランを設定している。育成選手を増やすためには、そのための環境の充実が伴わなければならないのだ。
一方、2023年の阪神は、支配下68、育成5の計73選手でスタートしている。
総人数でいえば、2022年より1人減となる。
このスケールであれば、現状の施設でも、ソフトバンクの1人あたりの実戦機会とそん色ない試合数を与えることができる。少数精鋭の逸材をポジションにはめ込んでチームを機能させるためには、実戦経験という、プロに慣れるための時間と環境を重点的に与えることがそのチーム作りの戦略にもマッチしているのだ。

