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佐藤輝明ら「即戦力の英才教育」で阪神は強くなったが…ヤクルトの「少数精鋭・はめ込み型」育成のメリットと限界を比較すると?
posted2025/08/04 17:04
佐藤輝明ら大卒即戦力選手のドラフト指名の成功が、今季の独走を大きく支えている。その育成方針に似た球団とは?
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph by
Hideki Sugiyama
2022年6月15日、大阪市内で「阪急阪神ホールディングス」の株主総会が行われた。
この場で必ずと言っていいほど、株主からタイガースへの質問や要望が出る。
「ようやくチームとして、顔となる選手、軸となる選手に投打ともにドラフト上位の選手が名を連ねてくれるようになりましたので、そこは継承していきたい。そうならないと、本当の強さは出てこない」
クリーンアップを担うドラ1たち
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当時、阪神電鉄の取締役スポーツ・エンタテインメント事業本部長を務めていた球団取締役オーナー代行の谷本修はそう言及した上で、その直前に閉幕した交流戦のラストゲーム、同6月12日のオリックス戦でのスタメンに記されたクリーンアップを、その象徴に挙げた。
3番・近本光司(兵庫/大阪ガス/18年1位)
4番・佐藤輝明(兵庫/近大/20年1位)
5番・大山悠輔(茨城/白鴎大/16年1位)
ドラフト1位の選手が、チームの中心を担う。
昨今のドラフトでの「戦略」が好転し始めているという一つの証左でもある。
ただ、残念なことに、高卒でドラフト指名した選手たちが、思うようなレベルにまでうまく育っていないことは、前回までの連載で詳述した通りである。
近年のチーム力を支える即戦力選手の活躍
誤解を恐れずにいえば“育成下手”ではあるのだが、前述の近本、佐藤、大山、さらには2022年1位指名の外野手・森下翔太(神奈川/中大)も含め、1位指名した大学・社会人の即戦力タイプで好素材の選手を獲得し、レギュラーにはめ込むことで、チーム力がアップしているのは間違いない。

