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阪神独走を支える“育成の方法論”とは? 森下翔太ら「大卒即戦力」補強と「少数精鋭に12球団最多の実戦機会」…成功の理由と懸念
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/04 17:05
森下翔太ら即戦力選手がチームを支えて今季独走する阪神。高卒野手が育たない問題はあるものの、全体の育成戦略は成功していると言えるだろう
彼らがいなくなった後、その穴がすぐに埋まればいいが、日本ハムの場合は育成のサイクルがうまくいかなかったこともあり、日本一の翌年にあたる2017年以降、その順位は5、3、5、5、5と低迷。新庄剛志が監督に就任したのは2022年だが、就任から2年連続で最下位に沈んでいる。
それでも、長い低迷の間に起用し続けてきた外野手の万波中正、2017年のドラフト1位指名のスラッガー・清宮幸太郎が確実に成長を遂げ、投手なら2020年ドラフト1位の右腕・伊藤大海、FAでオリックスから左腕・山崎福也を獲得するなど、的確な補強も功を奏して、2024年には2位に躍進、2025年はパ・リーグの優勝争いの中心にいる。
育成とチーム成績の好循環
日本ハムもヤクルトも、逸材と見込んだ選手をポジションにはめ込み、実戦経験を積ませていき、その“区別された選手の成長”とともに、チーム成績も好転させていくという好循環を生んできたのは、昨今のチーム成績を見れば明らかでもある。
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ここまで見てきたように、阪神は高卒選手の育成には少々疑問符が付くのが現状であることは否定できないが、大学・社会人の即戦力と呼ばれる選手たちのドラフト指名で昨今、俗な言い方をすれば“当たり”が続いている。だからこそ、2019年からの6年連続Aクラス、2023年には38年ぶりの日本一という、輝かしい結果にもつながっている。
阪神の「実戦機会」の多さ
その背景の一つとして挙げたいのは、阪神が“少なめの選手数”に、平等の実戦機会を与えることに成功しているチームだということだ。
1人あたりの試合数を、以下の計算式で出してみた。
1試合12人。なお、計算を簡略にするため、投手と野手の区別はつけていない。
また、ソフトバンクと巨人3軍の「非公式試合」、それ以外の球団の「練習試合」に関しては、球団HPで日程が確認できた試合数としている。また、1軍のオープン戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、ファームの日本選手権、教育リーグ、フェニックス・リーグの試合数は、ここではカウントしていない。


