テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

“テレビに映らない”大谷翔平「本当にクレイジー」ロバーツ監督と“じつは親密”ボンズの前で160キロ…ただ大谷は「打席でいい仕事ができなかった」 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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photograph byNanae Suzuki,Kazuaki Nishiyama

posted2025/07/21 17:01

“テレビに映らない”大谷翔平「本当にクレイジー」ロバーツ監督と“じつは親密”ボンズの前で160キロ…ただ大谷は「打席でいい仕事ができなかった」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki,Kazuaki Nishiyama

かつての大スラッガーであるバリー・ボンズの前で、大谷翔平は投手として実力を見せつけた

 ロバーツ監督が三塁ベンチに腰かけると、ボンズがロバーツ監督の膝に手を乗せ、大型ビジョンで流れていたボンズの特別映像を鑑賞した。ロバーツ監督は「僕もこの栄光の一部だから」と再び笑い、互いに小突き合っている姿は疑いなく“親密な間柄”だった。

 試合開始15分前。再び右翼スタンドに向かうと、マッコビー湾に前日と同様に20隻を超えるカヤックが待機していた。もちろん、前日に大谷の日本選手初の「スプラッシュヒット」をゲットしたブラッドリー・レナーさんもいた。手を振って名前を呼ぶと気付いてくれた。レナーさんは大谷の「スプラッシュヒット」をジップロックに入れて持参していた。前日に交換した電話番号から「幸運を祈る!」とメッセージを送ると「この瞬間を楽しんで、今日も運が良くなるかどうかを確認したいね!」とすぐに返事が返ってきた。食事やトイレもままならず過酷なはずだが、またとないこの瞬間を楽しんでいるのだった。

「BEAT LA!」の敵地を黙らせる圧巻160キロ

 右翼スタンドに向かったもう一つの理由が、ドジャース側のブルペンでの大谷の投球練習だ。ただ、右翼側の通路は「大谷ファンのキャパ」を超えて前に進めず、30メートルほど離れた位置から投球練習を見るしかなかった。

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 私の前に立っていたジャイアンツファンに「前にいって撮影して良いよ!」と快く譲ってもらったが、そのタイミングで投球練習が終了。「He is done.(投げ終わってしまった)」と苦笑すると大笑いされたが、息つく間もなく記者室へ再びダッシュ。この日は先攻。大谷の打席から注目の試合がスタートした。

 1打席目の大谷は2球目を打ち損じ一ゴロに倒れたが、その後の投球は圧巻だった。初回。敵地オラクル・パークに「BEAT LA!(LAを倒せ!)」の大歓声がこだまする中、大谷は初球から直球を7球続けた。

 先頭のヤストレムスキーを98.9マイル(約159.1キロ)、続くラモスを最速99.9マイル(約160.8キロ)でともに空振り三振。3番ディバースの3球目の直後に靴ひもを結び直した際に地響きのような大ブーイングを浴びても動じない。スライダーで空を切らせ、3者連続空振り三振に斬って敵地を沈黙させた。

 前回5日のアストロズ戦から2試合にまたいで圧巻の6者連続奪三振。2回はスイーパーを多用、3回は再び直球中心で攻めて二塁を踏ませず、4戦連続&8イニング連続無失点へ伸ばした。直球63.9%(23球)は投手復帰5戦目で最多。ストライク率69.4%(25球)の制球力も光った。投手復帰5戦目で最多36球を投げて最長3回を零封し、最多4三振を奪った。打撃では4打数無安打でも2-1で競り勝ち、今季ワースト7連敗からの脱出に貢献した。

納得の投球も「打席ではいい仕事ができなかった」

 試合後の大谷の口調や表情からは自信が読み取れた。内容、結果ともに納得の内容だったに違いない。

【次ページ】 納得の投球も「打席ではいい仕事ができなかった」

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