テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
“テレビに映らない”大谷翔平「本当にクレイジー」ロバーツ監督と“じつは親密”ボンズの前で160キロ…ただ大谷は「打席でいい仕事ができなかった」
posted2025/07/21 17:01
かつての大スラッガーであるバリー・ボンズの前で、大谷翔平は投手として実力を見せつけた
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nanae Suzuki,Kazuaki Nishiyama
ボンズが海に放り込んだ翌日に登板はなかったわけで
《7月12日 vsジャイアンツ(オラクル・パーク)◯2-1》
デーゲームを前に午前9時頃にオラクル・パークに到着すると、一般客の開場前だというのに既に長蛇の列ができていた。すぐに合点がいった。チケットは完売。敵地でも人気の大谷の登板日であることも関連していると思われるが、何よりこの日は歴代最多762本塁打を誇るジャイアンツのレジェンドであるバリー・ボンズの「ボブルヘッドデー」だった。
試合前、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「スプラッシュヒット」の翌日に登板する大谷について「普通ではない。少しずつ慣れてきている自分がいるのもまた不思議だが、例えばバリー・ボンズが海に放り込んだ翌日に先発登板するなんてあり得なかったわけで。本当にクレイジーだよ」と話した。そのバリー・ボンズは現在、ジャイアンツのCEO特別補佐を務め、前日もジャイアンツの打撃練習を見守るなど姿を見せていた。そして、自身のボブルヘッドデーであり、始球式も務めるこの日ももちろん来場し、両軍の試合前練習をジャイアンツ側の三塁ベンチから見守っていた。
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9月に40歳を迎える私にとって、ボンズは“ドンピシャ”の世代。シーズン最多73本塁打をマークした2001年は高校1年生で、毎日食い入るようにテレビ中継やニュースを見て、「今日も本塁打を打ったのか!」「スプラッシュヒットかっこいいな!」と思ったものだった。
ボンズとロバーツが“親密な間柄”なワケ
現役時代より少しほっそりしたとはいえ、そのスーパースターが目の前にいることに現実味がわかなかったが、もちろん人気は今も昔も変わらず、ファンからサインを求められては応じ、人懐っこい笑顔はあの頃と同じままだった。
すると、ロバーツ監督が三塁ベンチにやってきた。ボンズの現役最終年にジャイアンツで同僚だった縁もあり、2人は“親密な間柄”で知られる。当時毎日のように取材攻勢を受けたボンズが取材を拒否すると、現役時代のロバーツ監督が「スポークスマン」としてメディアにボンズについて代弁していたという。
2人は熱いハグを交わし、いきなり大笑いした。

