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「ナガトモのピークは過ぎたが」E-1サッカー日本代表にトルシエが“愛の辛口”「W杯選出はせいぜい1、2人」「平静さを失い…まるでアマチュア」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2025/07/14 17:02

「ナガトモのピークは過ぎたが」E-1サッカー日本代表にトルシエが“愛の辛口”「W杯選出はせいぜい1、2人」「平静さを失い…まるでアマチュア」<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

香港戦、久々の日本代表戦出場を果たした長友佑都

――韓国が3対0で勝ちました。試合展開もチームのレベルでも、韓国が中国を上回っていました。

「中国は監督を替えたのだろう」

――ユース代表などを指揮していた、別の旧ユーゴ系指導者(アレクサンダル・ヤンコビッチ)が、ブランコ・イバンコビッチの後を引き継ぎましたが、停滞は相変わらず続いています。この大会も難しいでしょう。日本と韓国は同レベルにあります。

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「韓国は悪くないのか。韓国も国内組なのか?」

――そうです。

「つまり大会の価値はそこまでは高くないわけだ。政治的な意味合いの方が強いのだろうか。地元の関心は高いのか?」

――韓国の人々の関心も低いです。中国戦も、観衆は4426人でした。そうはいっても、もし韓国が優勝を逃したら、厳しい批判を浴びるのは間違いありませんが。

「日本もそれは同じだろう(笑)。しかし森保は、どうしてリスクを冒してまでこのチームを率いるのか?」

――どういうことでしょうか。

「これはシニアチームだろう。23歳以下のチームではない。格としてはB代表だ」

ここからW杯に行けるのはせいぜい1~2人だろう

――しかし実質B代表を率いてローカルなこの大会に参加するのは、代表監督の義務でもあります。大会自体は2003年に始まりましたが、それ以前はダイナスティカップとして1990~98年まで開催されていました。E-1になってからは韓国が5回優勝しているのに対し、日本は2回しか勝っていません。

「私は1度も参加していないが」

――あなたの監督当時は行われていませんでした。それ以前はダイナスティカップがあり、あなたが去ってからE-1が始まりました。

「私の時代にあったら、利用価値は大きかっただろう。当時はほとんどの選手が国内組だったからだ。選手を試すいい機会になっていただろう。だが今日は、代表の主力は海外組であるから、若い選手を試すのがこの大会の最大のメリットかも知れない。しかし森保は優勝を目標に掲げたから、成熟した選手たちを主力に据えた。

 W杯を考えたときには、この大会もその準備のひとつと言うことはできる。そうではあるのだが、実際にここからW杯に行けるのはせいぜい1人か2人だろう。W杯を考えたとき、安易な夢は見られない。国内組に与えられる席は限られている」

――森保の代表グループリストには、海外組の選手が7~80人入っています。

「それはアフリカも一緒だ。モロッコやセネガル、コートジボワール、カメルーン……。海外組が主力であるのは日本だけではないということを、君もハッキリと書くべきだ。彼らはヨーロッパで育ち、ヨーロッパの育成システムで競争を勝ち抜きプロになった。高いレベルの経験も豊富で成熟もしている。それこそ日本人が理解すべきことだ。国内組が主力を占めるのはエジプトと南アフリカぐらいだろう。他はどこも、モロッコは100%海外組であるし、セネガルやコートジボワール、ナイジェリアもそう。チュニジアのような国は、両者の割合が半々だ。

 ただ、ブラジルはまた違う。ブラジルは最近、代表に国内組が増えている。しかしウルグアイやアルゼンチンなどは、ほとんどが国外でプレーする選手たちだ」

まるでアマチュアのプレーを見るようだった

――モロッコなどは本当に顕著ですね。

【次ページ】 リュウノスケ・サトウに期待している

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