テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
“テレビに映らない”大谷翔平「薄くなった“報復死球”の青アザ」徹底した食事管理だが珍しく…「俺に恨みあんの?」163.6キロ体感の打者はニコリ
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNaoyuki Yanagihara
posted2025/07/06 17:01
ロイヤルズ戦の登板後、囲み取材に応じる大谷翔平
「ライブBP(実戦形式の打撃練習)で投げ続けていたら(101.7マイルは)投げられていなかったのでは。そういう意味では短いイニングでしたけど、早めに実戦でそういう球速帯に慣れていくのはいいことじゃないかと思う。そこも今日1つ良かったところだと思います」
「(右肘の手術は)1回目より感覚は術後から凄く良かった。術式も多少違いますし、ドクターとの話の中で戻る確率は高いという話だったので自信はありました。球速帯だけでなく、投げ方も含めてまだまだ改善の余地はあって、これからかなと思います」
「まだ思い切り投げようとは思っていなかったですけど、ランナーが二塁にいったりとか、ランナーがたまってくるとどうしても打たれたくないという気持ちが先行して(球速が)上がってくる。自然に上がってしまっているなという感じですね」
31歳を迎える中で“元通り以上の姿”になろうと
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“思い切り投げようとは思っていなかった”というのにピンチの場面でメジャー自己最速を計測したのは、投手としての本能が勝ったということだろう。担当記者の一人としては、大谷の右肘の痛みが再発してしまわないかという不安や心配の気持ちが大きかったが――本人はいたってどこ吹く風だった。元通りに戻るのではなく、元通り以上の姿になろうとしている。7月5日に31歳を迎えるが、それはただの数字。本格派としての看板はまだ下ろしていない。
取材はアメリカ→日本メディアの順で進む。ここでずっと質問したかった「投手板に足を置く位置の使い分け」と「この日冴え渡った縦のスライダーの狙い」についてを1つにまとめて聞いた。
これについて大谷は「その方が抑えられると思ったからです」という一言だけだった。「どちらもですか?」と被せたが「そうですね」とやはり言葉少な。詳細を伏せたいのだろうと察知するとともに――さらに2つの質問をまとめて聞いたことも、まとまりが悪かったと自省した。開幕直後、別の記者から今季使用する長尺バットの理由を問われた時も同様の反応だったことを思い出した。取材者としてしっかりと話を聞きつつも、時にはそっと見守っていきたいと想った。
163キロを体感した相手「俺に恨みあんの?(笑)」
猛省したまま向かったロイヤルズのクラブハウスでは、大谷の自己最速を体感したパスクアンティノの取材である。これが前日のエステベス同様、爆笑に包まれた。

