テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
“テレビに映らない”大谷翔平「薄くなった“報復死球”の青アザ」徹底した食事管理だが珍しく…「俺に恨みあんの?」163.6キロ体感の打者はニコリ
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNaoyuki Yanagihara
posted2025/07/06 17:01
ロイヤルズ戦の登板後、囲み取材に応じる大谷翔平
パスクアンティノは既に米メディアに対して取材対応を終えていたが、そのことを知って“モジモジ”している複数の日本メディアを見つけると、「カモン!」と笑顔で呼び寄せた。
質問者がWBCでの対戦(パスクアンティノはイタリア代表だった)を知らなかったこともあり「彼とは何度も対戦してきた。日本でも対戦した。知らないのか?」と怒ったそぶりで食い気味にコメントすると、「彼が今まで投げてきた中で最も速い2球が、俺に投げ込んだものだ。彼は俺に何の恨みがあるんだ?(笑)」とハイテンションでまくし立て……。
「君たちは彼になんで俺にばかり速い球を投げるのか聞いた? “俺のことを嫌っているの?”って聞いた?」
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こう大笑いしていた。
その後、真顔で大谷を称賛
「パスクアンティノ相手で大谷が燃えるのでは?」
こうフォローを入れられると「たぶんそうかもね」と再び笑い、今度は真顔で称賛した。
「彼は良かったよ。ケガから復帰途上ということは知っているから、彼がまた投げるのは野球界にとって素晴らしいことだと思う」
これだけ無条件に相手選手に称えられる選手であること、そのお陰で我々日本メディアもある意味で“市民権”を得られていることに改めて感謝の気持ちが芽生え、何だか誇らしくもあった。
死球の青アザは薄くなっていた
《6月29日 vsロイヤルズ(カウフマン・スタジアム)◯5-1》
連日のデーゲームとあってか、球場入り後にクラブハウスに現れた登板翌日の大谷は少し眠そうだった。まだ投手復帰3戦目。いくら短いイニングの登板とはいえ、登板後の疲労は相当なものだろう。ただ、いつものようにユニホームに着替える大谷の右肩付近や右太腿から膝裏にかけての青アザはもう遠目では分からないほど薄くなっていた。大事に至らなかったのは不幸中の幸いだった。
試合前に大型ビジョン、外野フェンスのバナーで「SALUTE TO THE NEGRO LEAGUES」(ニグロ・リーグに敬意を表す)という文字が映し出され、同リーグ誕生の地とされる敵地で行われた恒例の一戦。101.7マイルを叩き出したロイヤルズ戦から一夜明け、打席でも先人たちに感謝の全力プレーを届けた。
雨天で試合開始が1時間2分遅れた中で迎えた初回の1打席目。左腕クリス・ブービックに対し、積極的にスイングし、2球で追い込まれたが、そこからボール球を見極めた。最終8球目を打ち損じ飛球になったが、デーブ・ロバーツ監督が「始まりは翔平の打席だった」と称えるなど、価値ある粘りの打席だった。


