「一茂さんは実家から帰るといつもゲッソリして…」長嶋茂雄逝去で思い出す愛息・長嶋一茂“ドラ1候補”時代…立大後輩が語った「一茂主将」の素顔 

「今の子はすぐ泣きますけど、僕たちの高校時代なんてなかなか泣かなかったじゃないですか、よっぽどのことがないかぎり。でも僕、監督さんの柔軟には、ほんとに涙流して泣いていましたよ。そういう時も一茂さんは、スッと視線をかわすんですよ。そういうのが器用というか、要領がいいっていうか。上手かったですね、一茂さんは」

ヤクルト時代の一茂。高校時代から「要領が良かった」　©BUNGEISHUNJU

　一方で、大学のリーグ戦で好成績を挙げられたのは、高校時代に大野監督が「グニャグニャ」にしてくれたおかげだと、矢作さんは感謝もしていた。

「あの柔軟のおかげで、大学でも、人一倍の筋力をバッティングに生かせたと思っていますから。だからもし、今、僕の前に一茂さんの再来みたいな高校生がいたら、泣かしてでもやらせますね、柔軟。やらせて『ものすごい一茂』に育てます！」

「日本人よりメジャーリーガーっぽい」一茂

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　興奮が、矢作さんの語気を荒くしていた。

「僕の日本ハム時代にトニー・ブリューワっていう外野手がいたんですよ」

　日本ハム在籍の4年間に99本塁打を放った右打ちのスラッガーだ。

「日本人に例えると、一茂さんに重なる選手なんて浮かんでこない。重なるとしたら、やっぱりブリューワですね。全身バネって感じで、ものすごい飛距離と打球スピード。一茂さんって日本人よりメジャーリーガーっぽいんですね、雰囲気も」

「メジャー級の素質」だった長嶋一茂のヤクルト時代のフルスイング　©BUNGEISHUNJU

　高校・大学当時の一茂選手のイメージは、アニメの主人公だという。

「プロレスとか格闘技も好きじゃないですか、一茂さん。当時もよく相手させられたんですけど、めちゃくちゃ強いんですよ、筋力。たいしてウェイトもやってないのに。でも……一茂さん体が堅いから、寝技に持ち込むと勝てる（笑）」

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