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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「一茂さんは実家から帰るといつもゲッソリして…」長嶋茂雄逝去で思い出す愛息・長嶋一茂“ドラ1候補”時代…立大後輩が語った「一茂主将」の素顔
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAFLO
posted2025/06/24 11:01
立教大学時代の長嶋一茂。4年時にはキャプテンを務め、大学ジャパンにも選ばれるなど活躍。その後のドラ1指名へと繋がっていった
「僕も今、学生たちを指導していて、いちばん難しいのが<やる気スイッチ>を探して押してあげることなんですけど、一茂さんの場合は、大学4年でキャプテンになった瞬間に、そのやる気スイッチが押されたんじゃないでしょうか。“立教も”負けてらんないなのか、“オレも”負けてらんないなのか……そこまではわかりませんが」
立教大打線が、1シーズン20本近く本塁打を放つという驚異の長打力を発揮したのも、この頃だ。
「そうなんです。一茂さんがバッティング練習でものすごい打球を連発するのを目の当たりにして、ほかのバッターたちも、それに煽られるようにガンガン振っていって。そういう意味でも、あの頃の立教は一茂さんが牽引していたんですね、きっと」
「理屈じゃねーぞ!」の掛け声
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なのに、「キャプテン」としての印象・記憶はその打ちっぷりほど鮮烈ではなかったという。
「『理屈じゃねーぞ! いくぞー!』って、それしか言わないキャプテンでしたから」
矢作さん、懐かしそうに笑っている。
「僕が『言いたくても、理屈は言えないからでしょ?』って言うと、黙ってニヤッと。今のバラエティーの一茂さんのまんま。そういうところが魅力でもあって、僕らも一茂さんについていったんです」
ものすごい原石。夢のかたまり。誰が見たって、育てたくなるヤツ。
矢作さんは、いくつもの表現をしてくださったが、それもこれも、みんな「人間・一茂」が背中合わせになっていたからこその魅力だと、締めくくってくださった。

