- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ドラゴンズ育成ドラ1が入団交渉した“異例すぎる”場所」星野仙一が「おやじ」と愛した店主、中日現役選手も食べる中華メニュー…名古屋“ナゾの中華料理店”に潜入
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byNumberWeb
posted2025/06/04 11:36
中華料理店「ピカイチ」。ドラゴンズファンの聖地として知られる
「2階のテーブル席で入団交渉をやってもらって、僕らは下で仕込みをやっておこうと思ってたの。でも当日、それどころじゃなくなって。メディアも50人くらい来た。明らかにスペースが足りない。だから交渉は2階、メディア対応は一階の座敷、記念撮影は1階のテーブルをどかして、って感じで一つずつ場所を変えながら。仕込みどころじゃなかったよ」
額縁に収まった2019年11月12日の中日スポーツ一面を見せてくれた。たしかに報道対応をする松田、ラーメンを食べる松田、地元の少年野球選手たちと記念撮影をする松田。写真の背景がそれぞれ異なっている……!「交渉は終わりましたので次は座敷に移動です」「記念撮影の場所、どうします?」。そんなドタバタ劇が浮かんでくるようだ。余談だが少年たちがかけているメガネは、松田に合わせて中日スポーツの方が持ってきてくれたものだという。
こうしてプロ野球史で類を見ない「中華料理店での入団交渉」は行われたのだ。
「給料50%ダウンや!」契約更改も
ADVERTISEMENT
「入団交渉はその1回だけ。契約更改も1回ありましたね。たまたまつけたテレビだかYouTubeだかで、金村義明さんが言ってました。僕らも後から知ったんですけど(笑)」
金村はたしかにYouTubeで発言していた。中日1年目を終えた1995年オフ、当時監督の星野から「給料半分でええか?」と言われたという。野球協約で減俸の限度が25%に定められているため、金村は本気にしていなかった。だが後日、球団代表に呼ばれ、契約内容を告げられたのだという。「悪かったな……50%ダウンや」(※最終的には2200万円〔32%〕ダウンの4800万円〔推定〕でサインと報道)。
入団交渉だけではなかった。契約更改もピカイチで行われていた。それも金村の話によれば「手羽先とビールを手にしながら」であった。
<全2回/前編《中日ファンの本音》編から続く>

