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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ドラゴンズ育成ドラ1が入団交渉した“異例すぎる”場所」星野仙一が「おやじ」と愛した店主、中日現役選手も食べる中華メニュー…名古屋“ナゾの中華料理店”に潜入
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byNumberWeb
posted2025/06/04 11:36
中華料理店「ピカイチ」。ドラゴンズファンの聖地として知られる
人気メニューは星野が愛した「イカのくちと野菜の炒め」、サクサクの食感に揚げられたごぼうに細切り肉がのった「ごぼうと細切り肉の炒め」など。
「変わったメニューでしょ。オリジナルなんです。調理場のスタッフ一生懸命、作ってくれてますから。よく聞かれるんですが、試合があるから混む、無いから暇とか、実はほとんど関係なくて。ドームで試合があると試合後のお客様が来られるので、混みやすい時間帯はありますけどね」
兵頭さんは照れ気味に言う。取材日はゲームのない平日月曜であったが、19時時点で満席だった。
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思わずピカイチの歴史の話に引き込まれてしまったが、聞きたかった質問を思い出す。入団交渉の件である。
中日スカウトが相談「ピカイチで入団交渉いいですか?」
「あー、松田の話ですよね。それは料理長を呼んだほうがいいですね。ちょっと待っててください」
すぐに細身の中年男性が姿を見せた。「この方は名城大出身で選手が店に来るとき、電話を受ける担当でもあります」。兵頭さんの紹介を受けてお辞儀をする。ピカイチの料理長・畠山衆拙さんである。さっそく入団交渉の経緯を聞いた。
「さっき兵頭さんが言ったように、僕が名城大野球部出身なんです。で、後輩に今ドラゴンズでスカウトをやっている清水(昭信)という者がおりまして」
横から兵頭さんが強調する。「清水、キーパーソンですから」。再び料理長の話。
「で、もうひとり。広島スカウトの松本(有史)さんって方が常連のお客さんで。その松本さんと清水が一緒に食べにきたことがあった。そこで松本さんが『この辺出身の選手を獲得したら、ピカイチで入団交渉やっていいですか』とおっしゃった。そしたら清水が知らん顔してるから『おいおい、広島の方が言うのに清水はやらんのかい』って冗談で言ったんです。それを覚えてくれていたんでしょう。松田を獲得することになったときに清水から相談を受けました」
すべてが異例だった。それゆえハプニングもあった。料理長がつづける。




