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「送別会でも泣かなかったのに」Jリーグ大好き女子大生から“名物広報”へ…29年勤めたベルマーレをなぜ辞めたか「休暇中の旅先でポロポロと涙が」
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石井宏美Hiromi Ishii
photograph byJ.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images
posted2025/04/07 11:04
J1湘南ベルマーレの広報として活躍した遠藤さちえさん。今年2月で29年支え続けたクラブを離れた
外国人選手のお世話係としてクラブに加わった遠藤さんがまず日課にしたのは、ポルトガル語の単語100問テスト。遊び要素や簡単な罰ゲームも取り入れて、すぐに習得できるように工夫をこらした。さらに、時間を見つけてはブラジル人選手の自宅に出向いて家族と積極的にコミュニケーションを図った。当時の必須アイテムだったポルトガル語の辞書3冊は気付けばボロボロになっていた。
外国人選手のケアを担当していた3年間で家族の出産に立ち会ったこともある。術中の説明が必須だからと春季キャンプで不在だった通訳にかわって、シモン(95~97年在籍)の膝の内視鏡手術にも立ち会った。床に落ちた血のついたガーゼが視界に入った瞬間に意識を失って倒れ、「気づいたときにはシモンの隣のベッドで寝ていました」。今だから笑える苦い経験もある。
1997年、遠藤さんにとって印象深い選手が入団する。のちに、日本代表としてフランスW杯に出場したストライカー、呂比須ワグナーだった。
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