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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「僕はまだ割り切れてない」プロ入りを懸けた勝負の1年…元U-18日本代表・筑波大エリート大学生はなぜ“ヘッドコーチ”との関係性に悩んでる?
posted2024/04/05 17:03
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「難しいです、本音を言ってしまえば……」
こう明かすのは、関東大学サッカーリーグ前年度王者・筑波大4年生の田村蒼生だ。
この春から、同期入学の戸田伊吹がトップチームの実質的な指揮を執るヘッドコーチに就任した。創部128年目の蹴球部においても非常に稀な出来事であり、小井土正亮監督から信頼を置かれる親友に尊敬の念を抱いていた。ただ、同時に目に見えない隔たりも感じていた。
「また4年間も伊吹とサッカーができる!」
田村にとって戸田は特別な存在だった。柏レイソルU-15でチームメイトとなり、そこからU-18、大学と、縁が続いてきた。
「中学の時からプライベートでもよく一緒に遊んでいました。一緒に筑波大に進むことが決まったときは、『また4年間も伊吹と一緒にサッカーができる!一緒にプロを目指せる!』と心の底から嬉しかった」
彼らが高校3年生の頃は、新型コロナウイルス感染症の影響で何かと制限が多い時期だった。それだけに狭き門と呼ばれる同大・体育専門学群の推薦入試を共に突破できた喜びはひとしおだった。
「昔から伊吹はピッチ内外ともに全体が見えていて、状況に応じたプレー選択や立ち振る舞いができて、すごく大人に見えた。僕が子供なのもあるかもしれないのですが、いつも頼りになる存在で中学、高校、もちろん大学に入ってもずっとリスペクトしていました」
一方の戸田も「蒼生はずっと年代別日本代表に入っていて、常に僕の先を行く存在だった。だからこそ、信頼もしていたし、負けたくない存在だった」と語っている。
お互いが鼓舞し合い、切磋琢磨してきた6年間。その関係は筑波大での4年間でさらに濃いものになるはずだった。