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「監督就任に異例の抗議も…」パワハラ処分から3年、アビスパ福岡で始まる金明輝の第二章「監督を信じている」選手の本音と揺れるサポーターの胸中
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キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byJ.LEAGUE
posted2025/02/19 11:00
今季からアビスパ福岡の監督に就任した金明輝(43歳)
ただ、スタジアムに足を踏み入れると、こちらの勝手な心配は杞憂に終わったように思う。
「キーーーン(金)、ミョンヒ(明輝)ーーー!」
DJによる軽快な選手紹介のあと、最後に監督の名前が呼ばれた時だった。会場に響きわたった低音ボイスに合わせ、福岡のサポーターたちは大きな拍手で新監督を出迎えた。
開幕黒星スタート、課題は残ったまま
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なんとしても開幕戦を白星で飾りたい福岡は、前半から前線のハイプレスでボールを奪った。金監督が標榜する堅守と鋭いカウンターで試合のペースを握っていく。
だが、運動量が落ちた後半は柏レイソルにボールを持たれる時間が増え、そして後半30分、カウンターから柏DFジエゴに抜け出され、最後はGKもかわされ先制点を奪われた。
後がなくなった福岡は後半40分にDF志知孝明が2枚目のイエローカードで退場して万事休す。0-1で敗れた。
特に後半のシュート数「2」という数字が現状のチーム状態を象徴するように、昨季J1最少の33得点に終わった課題を克服することはできなかった。金監督は試合をこう振り返る。
「僕のアプローチ不足です。われわれの攻撃のターンをしっかり作れなかった。開幕戦ということもあり、ミスを恐れて相手のプレッシャーから容易にボールを渡すシーンが多かった。今日見せたプレーは準備してきたものと、僕のイメージでは全然違う。ただ、選手たちはしっかりとゲームのなかでハードアップしてベストを尽くしてくれた」
悔しさを滲ませながらも、選手たちの健闘を讃えた金監督。批判を承知の上で福岡の地にやってきたのは、クラブから寄せられた熱い期待と、何より共感するビジョンがあったから。ただただ前を見る金監督は、拍手で迎え入れてくれた福岡のサポーターに感謝した。

