「監督就任に異例の抗議も…」パワハラ処分から3年、アビスパ福岡で始まる金明輝の第二章「監督を信じている」選手の本音と揺れるサポーターの胸中 

　不安を口にしていたサポーターは、開幕戦をどう見たのだろうか。前述の30代男性は小学3年生の息子を連れての応援だった。

「いろいろと言われているけれど、個人としてはどっちが良いとか悪いでもなくて。過去は過去。社会的にハラスメントが許されない時代ですし、もちろん周囲には『少し心が離れた』という人もいますが、自分はアビスパ福岡というクラブ全体を応援したい。子どもはアビスパが好きで応援していて、なんとなく事情も分かっているようです。でも昔のことをずっと言い続けるのもカッコ悪いかなと。一生懸命やって結果を出してくれればいい」

　友達と駆けつけたという女性サポーターは正直な思いを吐露する。

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「いちサポーターとしてこれまでの経緯はずっと見てきました。だからこそ、心配はありました。でも、そうした行為やライセンスの降格もあったけれど、選手がたくさん残ってくれましたよね。私は松岡大起選手（2021年まで鳥栖に在籍）が大好きなのですが、彼も監督をリスペクトしていると聞いたので安心しました。それで応援するしかないなって気持ちになったんです。福岡市長に会ったときも最初に謝ったそうですが、そのことに関して監督が自身の立場を認識されているのも大きいと思います」

アビスパ福岡のイレブン。松岡大起（88番）は、かつて金明輝監督が指揮した鳥栖でプレーした経歴をもつ　©︎J.LEAGUE

　実際に練習見学にも足を運ぶほどのサポーターである彼女は、ファンや子どもたちにフレンドリーに接する金監督の姿を見て安堵したという。「これからは見守っていくということしかできないですから。あとは結果を出してくれたら」と、笑顔でスタジアムを後にした。

「申し訳ないと監督に言わせたらダメ」

　開幕戦に敗れた選手の表情は決して明るいものではなかったが、2023年から福岡でプレーするMF紺野和也は「自信を持ってやり続ければ、良くなっていくと思う」と前を向いた。

「（ロッカールームで）明輝さんが『勝たせられなくて申し訳ない』と言っていたので、それを（監督に）言わせたらダメだなと感じました。戦術の部分も含めて見直す部分も色々とありますけれど、次はそういうことを言わせないくらい、入りからいいゲームをして勝ちたい」

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