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「目標は防御率0点台」と胸を張ったロッテ・鈴木昭汰に、松井裕樹が返した“意外な言葉”「ああ、確かにと…」侍入りに導いた左腕との“濃い時間” 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2025/01/22 11:03

「目標は防御率0点台」と胸を張ったロッテ・鈴木昭汰に、松井裕樹が返した“意外な言葉”「ああ、確かにと…」侍入りに導いた左腕との“濃い時間”<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

尊敬する松井裕樹(右)の自主トレは鈴木に大きな刺激を与えている

 悔やんでも悔やみきれない試合がある。昨年6月29日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。同点の延長10回に登板し、1死二塁から杉本裕太郎外野手にフォークをレフトスタンドに放り込まれた。勝ち越しの2ラン。鈴木がこのシーズン、初めて打たれたホームランであり、それまで開幕から27試合登板まで防御率0.00をキープしていた中で初の自責点となった。チームの連勝は3でストップし、負け投手になった。

何度も湧き上がった「後悔」

「ツーシームだと、ちょっと落ちにくくて拾われるかなと思って、フォークを選択した。それが高めに浮いて、逆に拾われた」

 あの場面が何度も脳裏をよぎり後悔の思いが湧き上がってくる。だからこそ、今度こそ。あえてあの時、打たれたフォークを完全マスターし得意のスライダーに加えて、縦の変化を作り上げて幅を広げて新しいシーズンに入るつもりだ。

「一緒に完成させるイメージ」

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 そのために松井裕樹もサポートを惜しまない。ただ、「教える」という表現に関しては違うと本人は嫌った。どちらかというと「一緒に完成させるイメージ」。この一言からもその人柄が、うかがい知れる。

「彼には去年の経験を生かして年間を通してハイパフォーマンスを出して欲しいと思います。ボクも負けないように。彼の活躍を刺激に頑張ります。彼からはこの自主トレで去年、時間が足りなかったフォークの練習をしたいと言われたので、その練習にしっかりと時間を割いていけたらと思います。きっと今シーズン、フォークで三振を量産してくれると思います」

 松井はそんな風に優しくエールを送っていた。

「誰が一番いい成績を出すか」

 鈴木と松井、そして同じく共に自主トレをしているイーグルスの渡辺翔太投手の3人はチームは違えど、互いを意識し競い合うシーズンを送っている。

「最低でも50試合以上、投げて誰が一番いい成績を出すかを競い合おうと思っています」と松井。パドレスで昨年は64試合に登板をして4勝、防御率3・73。渡辺は49試合に登板をして7勝で防御率3・04だった。

 1カ月にわたる充実の奄美大島自主トレを終えると3人はまた、各々のチームに戻っていく。松井は渡米し、他の選手たちはそれぞれのチームで新シーズンに向けて準備を進める。再会はまた来年1月。鈴木は今年のように、師匠に「すごいなあ」と褒めてもらえる日を夢見て有意義な一年を送っていく。そのためには、無駄な時間などない。

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