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「目標は防御率0点台」と胸を張ったロッテ・鈴木昭汰に、松井裕樹が返した“意外な言葉”「ああ、確かにと…」侍入りに導いた左腕との“濃い時間”
posted2025/01/22 11:03
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
51試合に登板をして2勝29ホールドポイント、防御率0.73。
鈴木昭汰投手が4年目の昨シーズンに残した成績だ。2021年にドラフト1位でマリーンズに入団。プロ入り後の3年間で42試合の出場に留まっていたが、4年目でイッキに花開いた。
変化と手応え
キッカケの一つは24年から始めた奄美大島での自主トレにある。
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「この期間は身体のいろいろなところを意識して、頭を使いながら考えています。昨年自主トレを行えたことで間違いなく自分の中で変化はあったと思う。だから今年もお願いして来させていただきました」
自主トレを率いるのは、サンディエゴ・パドレスに在籍する松井裕樹投手。奄美大島で共に汗を流すその効果を、鈴木ははっきりと口にする。
高校時代からの憧れ
鈴木はドラフト1位の即戦力左腕として注目と期待を背負いながらもプロ入り3年間で2勝7敗。もがき苦しむ日々の中で救いを求めたのが、同じ左腕で高校時代からの憧れの存在だった。マリーンズには美馬学投手がいたことが幸運だった。イーグルスから19年オフにFA移籍してきたベテランは松井とは元チームメート。鈴木の相談に乗り、すぐにコンタクトをとってくれた。そして自主トレの仲間入りの都合をつけてくれた。
「高校の時からめちゃくちゃ好きでスライダーとかを真似をしていた。自分がプロに入った時は左の守護神として君臨していた。自分も中継ぎなどを任せてもらうことが多くなったタイミングで直接、話をして学びたいと思いました」(鈴木)
野球漬けの毎日
松井の自主トレは、身体について考えること以外は何もないというほど研ぎ澄まされた時間が続く。朝6時半に起きて朝食。7時半には宿舎を出発し、グラウンドでトレーニングするとその後はウェート。宿舎に戻って夕方5時半から食事をとり、夜の8時には布団に入っている。
「食事中も、すべて野球の話。野球に繋がる話。栄養、睡眠、セルフケアが大事だよと教えてもらっている。だから食事も一つ一つカロリーを計算して意識して食べるし、睡眠時間もしっかりと確保している」
「無駄な時間はない」
口酸っぱく言われるのは「無駄な時間はない」ということ。テレビやYouTube動画を見る時間を失くせとまでは言われない。ただ、見ながらでもやれることはあるのではないかと投げかけてくる。
ストレッチを行ったり、肩の可動域を広げるエクササイズをしながら。ツボを押しながら。一日24時間という有限な時のすべてをなんらかの形でピッチングに生かすべきだと説く。鈴木も「その通りだと思った。あの人はそういうことにいち早く気づき実践してきたからこそ、ああいう成績を出していると思う」と助言に従った毎日を送る。