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「目標は防御率0点台」と胸を張ったロッテ・鈴木昭汰に、松井裕樹が返した“意外な言葉”「ああ、確かにと…」侍入りに導いた左腕との“濃い時間”
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2025/01/22 11:03
尊敬する松井裕樹(右)の自主トレは鈴木に大きな刺激を与えている
松井裕樹の“意外な答え”
昨年1月の自主トレ以後はLINEなどで連絡をすることはあっても会う機会はなかった。だから再会を果たしたのは今年1月、自主トレに参加をするため到着した奄美空港だった。満面の笑みで「凄いね」と声をかけられた。そして今年の目標を聞かれた。
「2年連続50試合以上登板、防御率0点台です」
そう力強く口にすると、意外な答えが返ってきた。
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「1点台でいいんじゃないかなあ」
意表を突かれた。
「5試合で1点と考えて…」
「もちろん結果的に0点台になればすごいけど、1点台を5年、6年とやることが大事じゃないかな」
そんな考え方を話してくれた。
鈴木は納得した表情で振り返る。
「1点台って、ものすごく難しく感じるじゃないですか。もちろん、ものすごく難しい事なんです。でも、中継ぎをやっている場合、毎回1イニングを投げて5試合で(自責点)1なら防御率1点台なんですよ。5試合で1点と考えて、その5試合を頑張る。その積み重ね。ちょっとした考え方一つでだいぶ違うなあと思いました」
「1点台で…」の真意
それまではガムシャラに24年シーズンと同じ防御率0点台を目指すべく鼻息が荒かった。しかし、どこか気負い、力んでいる部分があった。憧れのメジャーリーガーはそこを見過ごさなかった。だからあえて防御率1点台の計算式をシンプルに伝えてくれた。5試合、5イニングで1失点なら誰もが目指し憧れる1点台なのだ。
「ああ、確かにと思いました。あまり、高い数字を追いかけると逆に窮屈になる。この考え方だと目先の1試合1試合に集中して無心で行けるかなと思った」
今年の考え方として頭にしっかりとインプットした。シンプルな計算式を無心で続けていけばキャリアハイの領域も見えてくるのかもしれない。
悔やみきれない試合
技術的な面では、今年はフォークのマスターに取り組んでいる。昨年の自主トレでも教わり、練習をしてきたが未完成のまま春季キャンプに突入してしまった。