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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「まさかの2回連続追加招集された男」柏レイソル・関根大輝が代表経験で持ち帰ったもの…レベルが上がるたびに「急成長できる理由」を語る
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/11/09 11:01
「大学生Jリーガー」として柏の定位置を確保する関根。パリ五輪、A代表、残留争い……激動の1年の成長曲線を語った
食事の席ではいろいろな選手のもとに出向いて積極的にコミュニケーションを取った。ピッチ内にとどまらず、ピッチ外でも目いっぱい吸収しようとした。代表の話、プレーそのものの話、アウェイの難しさの話、欧州の話……頭のなかにすべて書き込んだ。
ジッダでのサウジアラビア戦はベンチ外だった。スタジアムが人で埋まった完全アウェイの最終予選ならではのピリつくような雰囲気をスタンドから感じ取った。
「みんな言っていました。海外の場合、多少力の差があっても、ホームの雰囲気があまりに凄くて(アウェイチームが)なかなか勝つのが難しい、と。ジッダもまさにそういう感じでした。でもみんな地に足ついていて、誰も浮き足立っていない。海外でプレーしている選手たちはやっぱりさすがだなって、試合を見ながら感じていました」
呼ばれただけでも得られたものがある
自分がウイングバックや3バックに入ったらと想像しながら試合をじっと見つめた。早くこのレベルに達し、早くA代表の試合に出てみたいと心から思えた。帰国して臨んだ埼玉スタジアムでのオーストラリア代表との一戦も続けてベンチ外。その気持ちはますます強くなった。
関根の目に力が宿る。
「ベンチ外にするくらいなら代表に呼ぶ必要はないんじゃないかとか言われたりもしていますけど、個人的にはあのレベルを経験できてA代表の基準を実感できただけでモチベーションも、意識も上がりました。いつかプレミアでプレーしたいっていう目標がずっとあるなかで、Jリーグのなかではできていても代表ではできていないという課題が見つかったし、代表に行ったからこそ得たものがあります」
再び追加で招集された11月シリーズはこの1カ月で成長したことを示す場になる。プレーも意識も自分で納得できるまで引き上げていくだけ。成り上がりならぬ駆け上がりの炎を、心にメラメラと燃やしている。
<つづく>