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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「まさかの2回連続追加招集された男」柏レイソル・関根大輝が代表経験で持ち帰ったもの…レベルが上がるたびに「急成長できる理由」を語る
posted2024/11/09 11:01
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
物怖じしない、ひるまない。
自分より上のレベルにひとたび足を踏み入れれば、一心不乱にそこまでたどりつこうとする。『ドラゴンボール』の孫悟空調で申せば“オラもっとうまくなんぞ”とばかりに、目を大きく輝かせてドキドキとワクワクを隠さない。22歳の現役大学生Jリーガー、関根大輝は今まさに飛躍の階段をかっ飛ばして駆け上がっている最中にある。
A代表に初選出された10月に続いて、11月の北中米W杯アジア最終予選(15日:対インドネシア代表、19日:対中国代表、いずれもアウェイ)でも2回連続の追加招集となった。なかなかのレアケースである。
10月シリーズの経験こそが、本人の意識を変える大きな一歩となっている。
187cmの長身を誇り、スピードもあれば足もとの技術もあって攻撃的なセンスにあふれる現代のサイドバックだ。拓殖大から2025年に柏レイソル入りが内定していたが、1年前倒しで加入した後はレギュラーに定着。パリオリンピック本大会出場、A代表入りとステップアップを加速させている。大学1年時にセンターバックからサイドバックに転向してまだ4年。どこまでスケールアップするか末恐ろしいほどだ。
自分のプレーへの高い要求水準
現在、レイソルは熾烈な残留争いに巻き込まれている。関根自身、全神経を注ぎ込んでいることは言うまでもない。
10月23日、アウェイでの浦和レッズ戦――。スコアレスで迎えた後半アディショナルタイムだった。残りわずか、ペナルティーエリア内にパスを通され、原口元気に裏へとパスを出される。ボールが渡った関根貴大にすぐさま対峙し、クロスとみるや両手を腰に回してハンドを防ぎつつ相手をよく見たうえで足を出した。ボールは引っかかってこぼれ、反応したチアゴ・サンタナが放ったシュートは立田悠悟の腕に当たってPKとなる。これを決められ、レイソルは勝ち点0に終わってしまう。
原口にニラミを利かせつつ、背後にも意識を向けていた。思うようなクロスを上げさせておらず、関根の対応は落ち着いていた。だがその場面をアンラッキーで片づけようとはせず、唇を噛む彼がいた。