プロ野球PRESSBACK NUMBER
「金丸夢斗を引き当てただけで満点」中日OB・小笠原道大がキッパリ評価のウラで「ジャイアンツは本当は投手に…」ドラフト全12球団の“思惑”
posted2024/10/31 12:26
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
JIJI PRESS
石塚裕惺は「勇人以降いないタイプのショート」
――まずは巨人から話を聞かせていただければと思います。1位は金丸夢斗投手(関西大)のクジを外し、石塚裕惺選手(花咲徳栄高)に切り替えました。阿部慎之助監督が「坂本勇人のようになってほしい」と語る大型ショートです。
小笠原道大(以下、小笠原) 可能性はすごくある選手だと思います。そうでなければ高卒の内野手を1位指名しないでしょうから。映像を見てもしっかりプレーできているなという印象です。(坂本)勇人以降、ジャイアンツにいないタイプのショートですよね。長打も打てる選手として、大きく育てたいという感じに見受けられます。
――巨人は2位で浦田俊輔選手(九産大)、3位で荒巻悠選手(上武大)と、内野手を3人上位で指名しました。それぞれタイプは異なりますが、どんな狙いがあるのでしょうか。
小笠原 本当はピッチャーにいきたかったはずですよ。菅野(智之)がメジャー挑戦でいなくなりますからね。今年の優勝は菅野がいなければなかったわけですし。そこで金丸投手のクジを外して、投手陣はFAや外国人選手で補強することを念頭に、考え方を切り替えたのかなと。今年を見るかぎり、ショートは門脇誠で固定されているわけではない。泉口友汰も含めて競わせていく狙いがあるのかもしれませんね。
――なるほど。
小笠原 チームの機動力を考えたときに、この浦田選手の5秒8(50m)の足は必要だった。おそらく守備、走塁から一軍に慣れさせて、レギュラー争いをさせるところまでイメージしていると思います。ピッチャーも補強しなくちゃいけないけれども、細かい部分での野手の戦力補強も急務だったので、想定内のプランのひとつという印象がありますね。クジを外したあと悩んでいる感じもしなかった。十分に及第点のドラフトでしょう。
独立Lからの指名が目立った阪神の“思惑”
――続いて阪神です。こちらも金丸投手のクジを外し、同じ左腕の伊原陵人投手(NTT西日本)を1位で指名。完成度の高い即戦力候補と言われていますが、どんな印象でしょうか。
小笠原 直球に力があり、変化球にもキレがあるということで、高橋遥人みたいな感じのピッチャーじゃないかなと思いました。智辯学園、大阪商業大、NTT西日本と関西出身だというのもあるのかな。阪神も左投手は補強しないといけないところでしたからね。先発に大竹(耕太郎)、リリーフにも桐敷(拓馬)や岩崎(優)がいますけど、彼らにちょっと疲労が出たり、故障したときに本当に困る。先発、中継ぎ、どちらかわかりませんが、いずれにせよ必要な人材という気はします。
――2位は高校生屈指の右腕とされる今朝丸裕喜投手(報徳学園高)、3位は木下里都投手(KMGホールディングス)と、巨人とは対照的にピッチャーを上位に並べました。