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「DeNA1位は地元の“超大型”高校生左腕」「日ハム7位の隠し玉”プロ野球か漁師か”の超変わり種」ドラフト全指名予想《ロッテ・DeNA・日ハム編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/23 11:22
DeNAの1位指名予想は地元・神奈川の藤田琉生(東海大相模高・198cm93kg)
梶原昂希(3年目・189cm)、蝦名達夫(5年目・185cm)の大型コンビが定着しつつある外野陣で、来季9年目・31歳を迎える佐野恵太選手の後継を……来季、来年とバタバタしなくても済むのは、間違いなく、選手層が充実してきた証拠だ。
今季2季、春・秋のリーグ戦でバッティングにすばらしい進境を見せた吉納翼(外野手・早稲田大)。最上級生になって急激に成長したということは、ケツを叩く人は減ってくるのだから、おそらく自身で自身にムチをくれながら、能動的に練習したからだろう。そこが貴い。長距離砲タイプだから、少々粗けずりな面は残すが、左翼スタンドにも放り込める「幅」を獲得。バッティングの世界を広げてみせた。ライトを守って本塁返球の精度と伸び感は一級品だ。
DeNA3位指名は「山下舜平大の元チームメイト」
実は3位で「投の大器」をもう1人用意していたが、警戒していた某球団に持っていかれてしまうと、そこは昇り調子のベイスターズ、もう1人繰り出す「二枚腰」だ。
山城航太郎(投手・法政大)は、福岡大大濠高当時は外野手でバットマン。オリックス・山下舜平大投手のバックを守っていた。
「法政行って、ピッチャーになって、僕も舜平大みたいにドラ1でプロに行きます。舜平大には勝てませんけど」
明るく笑っていた4年前。ドラ1ではなかったが、今年春のリーグ戦から登板してすぐ150キロ前後の快速球を披露。豊かな伸びしろと、外向きの旺盛なエネルギーを買われての上位指名となった。
ファームに、将来を楽しめる本格派右腕がやや心もとない。
4位・茨木佑太(投手・帝京長岡高)、5位・昆野太晴(投手・白鴎大足利高)は「そこ」にピッタリ合致するパワーピッチャータイプだ。
3位の後半か、4位の前半で消えると完全に諦めていた茨木投手は、1位・藤田投手にもヒケをとらない巨体。前に立たれると、向こう側が見えない。今は140キロ前半のアベレージでも、多彩な変化球が投げられて、芝草宇宙監督(元・日本ハムほか)仕込みの「相手を推理しながらのピッチング」ができる。下半身主導のメカニズムが搭載されれば、150キロなんてすぐ……の雄大な体躯。スケールなら、ひと足先にプロ球界に進んだ兄の阪神・茨木秀俊投手(2年目)より一枚上と見る。
今春県大会の150キロ台連発で話題をさらった昆野投手。当然、甲子園を狙った今夏のまさかの初戦敗退が、よほど悔しかったのだろう。この秋に「こんちくしょう!」と頑張って、さらにワンランク、技量を上げてドラフトを待った。激しいタテの動きの高速スライダー、フォークも使えるボールだ。