チーム内に、20歳前後のサウスポーが極めて少ないから「3位」で欲しかった。ただこのあたりのゾーンは、どこの球団も将来性に富む左腕を指名してくるので、心配していた。

　そんな中で高橋幸佑（投手・北照高）が指名できたのは大収穫。横浜出身の左腕なので、1つ前の横浜DeNAが怖かった。

　その横浜の中学軟式からはるばる小樽の北照高に進んだ頃は、120キロ出るかどうかの並の高校生。それが、3年間の努力で140キロ前半のアベレージと、いつでもストライクのとれるカーブ、スライダー、勝負球のチェンジアップ。全国有数の左腕にレベルアップ。プロの食事とトレーニングで、4年後には、金丸投手を獲り逃がした穴をしっかり埋めてくれる。

地元・千葉枠は「高校生2人」

　今年の千葉県枠は、高校生が2人だ。

　4位・颯佐心汰（遊撃手・中央学院高）は、投手としても140キロ台の速球と変化球を織り交ぜて試合を作ってしまう「野球上手」だ。抜群の全身のバネを駆使して、右に左に敏捷、柔軟なフィールディングを見せるあたり、守備面では明豊高（大分）当時の今宮健太遊撃手（ソフトバンク）が重なってくる。長打はなくても、打に「パチーン！」といける瞬発力がつけば、チームの偉大なOB・小坂誠になれる。

　7位指名で菊地ハルン（投手・千葉学芸高）が指名できたのは、今夏予選の終わり方が不運だったせい。体調不十分もあって、4回戦で敗退。しかし、その後の「秋」に投球フォーム、球威、制球力……グーンと良くなった。前例を見ないほどのボディーサイズだが、動かしてバランスが良いのが、これ以上ない伸びしろだ。

　5位・冨士大和（投手・大宮東高）、6位・田中大貴（外野手・山村学園高）の「埼玉コンビ」。ファームのグラウンドと寮が埼玉県さいたま市だから、「準フランチャイズ」みたいなものだ。2年目の大型左腕・吉川悠斗（浦和麗明高）もイースタンの実戦で頑張っている。

　その「埼玉産大型左腕」で、球筋が見えないスリークォーター左腕の冨士投手は、アベレージ130キロ台後半。それでもリリースが見えないから、体感速度は「140キロ台後半」だ。埼玉のスラッガーといえば、花咲徳栄高・石塚裕惺遊撃手だろうが、猛烈なフルスイングのスピードや打球の速さなら、田中選手だってヒケはとらない。強肩・俊足も兼備して、山口航輝、山本大斗のロッテ若手外野手たちを追走できる素材だ。

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