マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「ヤクルトが期待する左腕“2人の佐藤”」「“広島の至宝”宗山塁は地元カープがドラ1指名」ドラフト全指名予想《ヤクルト・楽天・広島編》
posted2024/10/23 11:21
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
ヤクルトは「何が何でも投手補強」
【東京ヤクルトスワローズ 2024年ひとりドラフト指名選手】
✕中村優斗 21歳 投手 愛知工業大 176cm83kg 右投左打(中日との抽選に敗れる)
1位 佐藤柳之介 21歳 投手 富士大 179cm85kg 左投左打
2位 木下里都 23歳 投手 KMGホールディングス 182cm90kg 右投右打
3位 寺西成騎 22歳 投手 日本体育大 186cm85kg 右投右打
4位 佐藤爽 21歳 投手 星槎道都大 176cm78kg 左投左打
5位 今坂幸暉 18歳 遊撃手 大阪学院大高 178cm80kg 右投両打
6位 笹原愛斗 22歳 捕手 九州共立大 180cm85kg 右投右打
7位 (選択終了)
【ヤクルト 総評】
2年連続のリーグ5位。その前が2年連続優勝だったことが、遠い過去のことのように思える。勝負の世界は残酷なものだ。
試合の前半5回、ヘタをすると3回で試合が壊れてしまう現実がちょいちょいあった今季。何がなんでも、投手補強だ。それも何がなんでも「先発投手」。候補がいるのなら4人でも5人でも、なりふり構わず「投手」を並べるドラフトにしても、ファンは誰も文句は言わないだろうし、現場はとてもありがたい。
いつまでも、「左腕は石川雅規」とも言っていられないだろうし、頼りになる左腕は田口麗斗ぐらい。本当は金丸夢斗(関西大)でいきたいところを、指名競合の薄そうな中村優斗(投手・愛知工業大)にいく。
悲しいかな、こういうところが弱いチームの「弱いところ」だ。堅く、堅く……必要性が二の次になり、現実性のほうが優先される。攻められなくなるのだ。その中村優斗を抽選で逸して、1位は佐藤柳之介(投手・富士大)に落ち着いた。
この春からの2シーズンで著しい進境を見せた実力派左腕だ。145キロ前後の速球にスライダー、カーブ、フォーク。もともと持ち球の優秀な左腕だったが、そこにストライク先行で投げられる制球力と試合終盤まで球威を維持できるスタミナが加わって、文字通り「試合を作れる左腕」にレベルアップ。この投手に重複がなかったのが来季以降の「光」になりそうだ。
人材がいる限り…とにかく「投手」!
さあ、今年はせっせと「投手」だ。「これは!」という人材がいるかぎり、とにかく投手だ。
150キロ台のスピードボールを投げられる投手がいない。終盤の1イニング、2イニングを力でねじ伏せられる投手が欲しい。だから、2位が社会人有数の剛腕・木下里都(投手・KMGホールディングス)になった。
今夏の都市対抗、先発の初回から150キロ前半を連発して球道も暴れず、フォークの実戦力も高かった。投手を始めたのは福岡大に入学してからで、実戦登板はほぼ社会人から。まだ肩は若く、23歳でも伸びしろを秘める。
右投げのオーソドックスなオーバーハンド。ヤクルト・ドラフト指名の定番である。うってつけの長身右腕がいて、3位は寺西成騎(投手・日本体育大)に決まる。
金沢・星稜高で奥川恭伸の1年後輩。後継右腕として大きな期待をかけられたが、3年時に右肩手術を受け、大学では3年生からエース格で登板した。角度抜群の速球とスライダー、プロでも決め球になりそうなフォークを低めにきめて打ち損じを誘う投球はエース格・吉村貢司郎タイプだ。同世代の星稜コンビが、共に大きな故障からの復活を期する。