1年目から戦力になって、4～5年後にはローテーションの一角。そんな怪腕がどうしても欲しい。関西大の左腕・金丸夢斗なら適役だろうが、4球団、5球団重複なら回避だ。心細い先発陣から、小笠原慎之介投手のメジャー挑戦もあるかもしれない。どうしても一枚は確保しないと！

　重複があっても2、3球団と読んで、1位は中村優斗（投手・愛知工業大）だ。お膝元・愛知で大きくなった剛腕でもある。

　結果、ヤクルトとの2球団重複の抽選で獲得。もし、いきなり10勝してくれたとして……今季の勝敗に足し引きすれば70勝65敗。「Aクラス」がチラッと見えてきた。

　そりゃあ、皮算用さ。でも、ドラフトにはそういう「夢」がある。

　1位指名で獲得した中村優斗投手は、野球は高校（長崎・諫早農業高）まで、卒業後は長崎県庁に就職して農業振興に従事しようと考えていたのが、周囲に勧められて進学。野球も続けて、4年後にドラフト1位重複指名の剛腕にのし上がった。 投球フォームにそこまで力感があるわけじゃないのに、それでも155キロ前後がアベレージ。「常時145キロ前後」でもアッと思うのに、そういう時代になったのだ。

　強靭な体躯を生かし、左足でドーン！と踏み込んで、「硬いマウンドが増えた今のプロの球場なら、そのパワーが余計に生きる」と言いきる関係者もいる。大谷翔平投手の「スイーパー」のようなスライダーにカットボール、140キロ前後のスプリットを交えた緩急がまた手が焼ける。

中日2位は地元に現れた高卒スラッガー

　岡林勇希、村松開人、福永裕基……1番から3人が固定化されつつあるのは、今季の中日にとって数少ない収穫だろう。一方で、将来の大砲候補が心もとない。そのつもりで獲得したはずの共に3年目のブライト健太と鵜飼航丞になかなか見通しがつかない。

　そんな時、地元・愛知にまたとない逸材が現れる。2位指名のモイセエフ・ニキータ（外野手・豊川高）が「2位」なのは、140キロ級の内角速球をライトスタンドに放り込めるパワーとバットコントロールがあるからだ。内角速球をヒットにできる左打者はいる。しかし、本塁打にできるのは、社会人野球にもなかなかいない。

　守備・走塁も水準以上、何よりの魅力は打ち損じの内野フライでも全力疾走でセカンドベースを踏みにいく覇気と外向きのエネルギーだ。井上一樹新監督の大好きな「やる気、元気がみなぎる選手」。そこにピッタリの若者だろう。

　長くチームリーダーだった大島洋平外野手が、来季は40歳に達するという。

　日本生命から24歳で入団して来季で16年目。ここまでプロ2044安打のヒットメーカーの後継にふさわしいのが3位・竹内翔汰（外野手・立命館大）。この秋のリーグ戦、1位重複候補の関西大・金丸投手の内角速球をジャストミートのライナーで右中間に弾き返した一打を見て、さらにその「将来」を確信した。

　背格好も大島選手によく似て、技術と共に馬力と瞬発力を兼備して、展開次第では、年間15本程度の本塁打も期待できるような「おっかないバッター」への進化も見込める。併せて、守備・走塁の実戦力も一軍レベル目前と見る。

　4位・堀江正太郎（投手・文星芸大付高）、6位・平塚大記（投手・市立岐阜商業高）、7位・内山京介（投手・豊橋中央高）。3人のうち2人は「5年後の黄金時代」に投手陣の一員になっていてほしい。切なる願いからの指名である。

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