パ最下位の西武…ドラ1は野手？ 投手？

【埼玉西武ライオンズ　2024年ひとりドラフト指名選手】

1位　金丸夢斗　21歳　投手　関西大　177cm77kg　左投左打
2位　渡部聖弥　22歳　外野手　大阪商業大　178cm81kg　右投右打
3位　齋藤大翔　17歳　遊撃手　金沢高　181cm78kg  右投右打
4位　井上幹太　22歳　外野手　金沢学院大　185cm95kg  右投左打
5位　小川哲平　18歳　投手　作新学院高　184cm95kg  右投右打
6位　譽田貴之　22歳　捕手　福岡工業大　176cm78kg　右投右打
7位　（選択終了）

【埼玉西武　総評】

　不名誉な勝率（.350）でパ・リーグ最下位。不名誉な記録もいろいろありながら、「この打線じゃあしょうがないよな」という変な「納得」のされ方をされては、勝負をなりわいとする者にとって、これ以上の不名誉もなかっただろう。

　打線のテコ入れに「1位は“野手”でくるんだろう」の大方の見方とは裏腹に、快腕・金丸夢斗（投手・関西大）で来たから驚いた。

　おそらく、アマチュアのスラッガーの1人や2人じゃ、とても「強化」にはならないと踏んだのだろう。正直、そういう次元ではないように見えていた。来年のためのテコ入れなら、外国人かFAに力を注ぐ方が現実的だろう。

　ならば、ドラフトでは、なかなか捨てたもんじゃない投手陣のさらなる強化を図ろう。平良海馬のメジャー挑戦もあるかもしれない。そっちのほうが現実的だ。

　千葉ロッテ、横浜DeNA、北海道日本ハムとの競合・抽選に打ち勝って、金丸投手の交渉権を獲得できたおかげで、2位以降が理想的な指名になった。

　外していたら、おそらく2位・渡部聖弥を1位に繰り上げて、さあ2位以降を「投手」でいくのか、「野手」でいくのか。選択のテーブルが混乱したことだろう。

　金丸は今の彼にとって最も合った球団に指名されたようだ。先発に武内夏暉、隅田知一郎の若手両左腕、リリーフ陣に佐藤隼輔、ジェフリー・ヤン。さらには3年目・羽田慎之介、ルーキー杉山遥希の台頭もあって、あわてて金丸の力を借りなくてもよさそうな左腕投手陣を持つ西武。

　普通の公立高から関西大に進み、すぐに主戦クラスで奮投してきた金丸ならば、きっと土・日のリーグ戦に投げて月曜はオフ、火曜日に疲れをとるストレッチ等、水曜、木曜にちょっと走り込んで、投げ込んで、金曜は土・日の本番に備えて、疲れない程度の練習。そんな日常が続いて、本来の「強化練習」はそこまでなされていないのでは。リーグ戦以外でも、全国大会や国際試合に時間をとられて、なおさらだったろう。

　ならば、長くプロで投げ続けられるための強化練習の時間を少なくとも1年は。それが可能な「左腕に余裕のある球団」は、現状、西武だけではないか。

「貧打解消」に有力な大卒外野手を確保

　渡部聖弥（外野手・大阪商業大）は「繰り上げ1位」で消える。それが各球団の見方だったから、2位で獲れたのは金丸獲得と同程度の「大収穫」だ。

　ご存じの通りの貧打線に泣いた今季のライオンズ。そこに、アマチュア球界トップクラスの渡部が獲れた。忘れられない昨年6月の全日本大学選手権。東京ドームの右中間中段に、右打席からライナー性で持っていった一撃。以降、注目される者に付きものの雑念なのか、「打ちたい、打たなきゃ」の気負いにバッティングを崩した時期もあったが、その本質は、横浜DeNA・牧秀悟の「軸のブレない高精度スイング」だ。

　センターですぐ使える守備力。特に機敏で正確なスローイング能力は、西武外野陣で随一になろう。

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