テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「最高の親友で、敵だ」“オオタニ愛”をエンゼルスのサンドバルが熱く…「ベッツやテオとは通訳なしで」テレビに映らない大谷翔平vs古巣ウラ話
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byBrandon Sloter/Getty Images
posted2024/09/13 06:00
エンゼルス戦、かつての戦友レンドーンと談笑する大谷翔平。“テレビに映らない”彼の振る舞いとは?
「アナハイムのファンの人たちの前でプレーできるのが一番。レギュラーシーズンでは初めてだったので、楽しみにしていた。エンゼルスのファンの人たちには感謝しかない」
大谷が岩手・花巻東時代に学んだ「先入観は可能を不可能にする」という思考を、記者としても改めて肝に銘じる1日となった。
エンゼルスの関係者と再会…懐かしさと寂しさが
《9月4日 VSエンゼルス(エンゼルスタジアム)●1-10》
エンゼルス側のクラブハウスは懐かしく、心地よかった。サンドバルらを取材した初日に続いて、2日連続で訪問。初日に挨拶できなかったマット・バーチ広報から「ナオ、元気か?」と声を掛けられ、固い握手。“記録マニア”のバーチ広報には、これまで大谷やチームの記録を調べる際に何度も助けてもらった。
寡黙でおとなしそうに見えるが、世界最大のプロレス団体WWEの大ファンで、私がWWEの日本人レスラー戸澤陽と中学時代のクラスメイトだと告げると大興奮。以降、「トザワは元気か?」が我々のお決まりの挨拶となった。2023年開幕直前には球団がWWEの日本人女子レスラーIYO SKYらを始球式に招待すると、見たこともないようなハイテンションで球場を案内していたことも忘れられない。
日本人の祖母を持つ球団スタッフが大好きだという「東京ばな奈」を手土産として取材開始日に持参することも私のルーティンの一部だったが、次はいつ持ってこられるかと考えると少し寂しくも感じた。
ベッツ、テオスカーと通訳なしで話す姿も
一方、ドジャースのクラブハウスでは大谷がムーキー・ベッツ、テオスカー・ヘルナンデスの3人で椅子に座って長々と言葉を交わしていた。大谷の通訳を務めるウィル・アイアトン氏は不在だった。3人は身ぶり手ぶり野球の会話を交わしていたようだった。
珍しい光景だったが、メディアがクラブハウスに入れる時間帯では見たことがないだけで、普段から頻繁に意見を交わしているのかもしれない。そんな雰囲気を醸し出していた。
大谷は試合前に捕手を座らせてブルペン入りし、昨年9月に受けた右肘手術後では最多の15球を投じた。前日同様にホーム側が練習する左翼付近で壁当てとキャッチボールを行い、平地でも捕手を座らせて15球の投球練習。その後、ブルペンへ移動した。時折、声を出して投げるなど来季の投手復帰へ向けて徐々に強度を上げており、球団関係者によれば球速は88~90マイル(約142~145キロ)を計測。投球後はエ軍のスタッフらと談笑し、旧交を温めた。
観衆はエンゼルスタジアム今季最多を2日連続で更新する4万4822人。3試合ぶりの無安打に終わったが、ブーイングではなく、両軍のファンからの大歓声を一身に浴びた。
この時点で44本塁打、46盗塁。「45-45(45本塁打、45盗塁)」まであと1本塁打として2連戦を迎えたが、ノーアーチで偉業到達はならず。日本ハム時代に取材経験のある東山紀之さん、木村佳乃夫妻も観戦する中、同じくあと1本塁打に迫っていたエンゼルスタジアム通算100号も来季以降に持ち越しとなった。
試合後、カメラマンとも“大谷談議”
試合後にレンタカーで約40分かけてアパートに帰ってからは「打つ時に下半身がこれまでより沈み込んでいるのでは」という同居するカメラマンの印象に耳を傾け、“大谷談議”に花を咲かせた。
これから待ち受ける前人未到の「50-50」、大谷にとって初の地区優勝、その後のプレーオフに向けて取材は始まったばかりだ。〈大谷番記者日記:つづく〉