テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「大谷翔平が珍しい!」球宴で自ら語り出した“ハーパー評”、山本由伸とCreepy Nutsは粋な演出…“テレビに映らない”ドジャースの日常
posted2024/07/30 06:01
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Jayne Kamin-Oncea/Getty Images
球宴初HRとともに興味深い“大谷のハーパー評”
《7月16日 オールスター戦(グローブライフ・フィールド)ア・リーグ5-3ナ・リーグ》
真美子夫人とともに颯爽と歩いたレッドカーペットに続き、本番のオールスターでも大谷はテキサスの広大な大地をゆっくりと踏み締めた。
3回無死一、二塁。大谷は右腕ホーク(レッドソックス)の甘く入ったスプリットを強振し、右翼席に叩き込んだ。両手を小さく振るおなじみのポーズで歓喜。ベンチで前夜に本塁打競争を制した同僚のテオスカー・ヘルナンデスから恒例のひまわりの種をかけられた。
4年連続出場の球宴で、通算8打席目にして待望の初アーチ。
「オールスターはなかなか打てていなかったので、1本良いのが打てて良かった」
「(バットの)先気味だったけど、良い角度で上がっていたので十分に入ると思った」
大谷がこのように語った一打は、右翼手ソト(ヤンキース)は動かず、中堅手ジャッジ(ヤンキース)も目を丸くして驚いた。飛距離400フィート(約122メートル)。ドジャースの選手では1996年マイク・ピアザ以来28年ぶりとなるオールスターでのホームランで、日本選手では2007年にランニング本塁打で記録したイチロー以来2人目。柵越えのアーチは初めてだ。21年に勝利投手の大谷は、球宴史上初めて勝利と本塁打を記録した選手になった。
大谷は4年連続4度目の球宴で、ナ・リーグでの出場は初めてだった。「ナ・リーグのクラブハウスで最も驚かされた選手は?」という質問に、大谷はこう発言した。
「ハーパー選手は一緒にケージワーク(室内打撃練習)をして、試合前にどういう練習をしているのかも見た。凄く勉強になりました」
4年目の落ち着きか、よほど印象に残ったか。自ら具体的な選手名を披露すること自体が珍しかった。
ハーパー「僕もショウヘイの打撃が大好きだ」
選出8度目の31歳のハーパーは故障の影響などで、18年以来6年ぶりの出場となった。21年にはア・リーグ、ナ・リーグに分かれてMVPを受賞し合った大谷との初共演は注目点の1つだった。
メジャー挑戦を翌年に控えた17年のキャンプ中、大リーグ公式サイトのインタビューで大谷は「ハーパー選手の打撃を見るのが好きです」と答えたことがあった。前日、ハーパーにこの発言を伝えると「僕も彼の打撃が大好き。バットがボールを突き抜けていくような感じが印象的だ」とうれしそうだった。
試合だけでなく、練習から共演が実現したことは感慨深かった。