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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「日本のプロ野球のほうが盗塁しにくい」説も…大谷翔平“昨季20個→今季もう46個”、なぜ盗塁が2倍以上に急増した? NHK解説者が語る「日米ピッチャーの差」
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byAFLO
posted2024/09/06 18:10
今季すでに46盗塁(現地9月4日時点)。8月からは「三盗」を決めるシーンも増えている
メジャーでは昨シーズンからピッチクロックが始まっている。これは、投手がボールを受け取ってから投球動作に入るまでの制限時間だ。ランナーなしは15秒、ランナーありは18秒となり、さらに牽制も3回失敗すればボークとなる。つまり、ランナーは残り秒数を見れば、ピッチャーが投球動作に入るタイミングがわかり、牽制の回数も予想できるということだ。
さらに一塁と二塁のベースも15インチ四方から18インチ四方へ変更され、7.6センチほど大きくなっている。このようにランナー有利となるようなルール変更がされ、大谷の盗塁についてもこの影響を指摘する声もある。しかし、武田氏はこの問題は本質ではないと話す。
「もちろん、ルール変更も一因でしょうけど、本質はそこではないんです。そもそも、メジャーと日本の野球はスタイルが異なります。メジャーでは、牽制やクイックがうまい投手は少ないし、そもそも攻撃も打ってナンボのようなスタイル。隙あらば盗塁をするような選手も少ないため、投手も無駄にクイックや牽制の練習などしないのです。日本だとプロ入りした投手は、まず盗塁対策としてクセを直させられますが、メジャーではそこまで徹底されていないため、クセもリズムもわかりやすい。中継を見ていても、投げるまでのリズムが一定のピッチャーはわかります。このような状況を鑑みれば、大谷ほどの走力がある選手にとって、盗塁は比較的容易なのです。日本のプロ野球のほうがよっぽど走りにくいと思いますよ」
MVP論争「なぜ文句がでるのかわかりませんよ」
武田氏は今シーズンの大谷は最終的に52本塁打、55盗塁という成績になると予想する。こうなると期待されるのが、2年連続3度目のMVPだ。DHでの受賞となれば、メジャー史上初の快挙となるが、これには守備についていない点で否定的な意見もアメリカではちらほら。しかし、武田氏はそれを一蹴する。
「MVPはほぼ確実だと思いますね。50-50という100年以上、誰もやったことがない成績を残して、なぜ文句がでるのかわかりませんよ。守備の代わりにどれだけ走っているのかと。守備についていないからダメだと言われたら、ふざんけんなって感じでしょ。結局、蓋を開けてみたら満票での獲得だと思います」
今シーズンも異次元のプレーで我々を魅了している大谷翔平。優勝を争う「ヒリヒリする9月」には、どんな飛躍を見せてくれるのか。
<《藤浪》編へ続く>