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「高校で騒がれても天狗にはならない」宮市亮以来の“高卒→プレミア直行” 17歳高岡伶颯とは何者か? 本田圭佑の系譜を継ぐ“強気発言”の真意
posted2024/08/28 11:04
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
今や、大学やJリーグを経由せずに、海を航る高校生は珍しくなくなった。
近年では超高校級ストライカーと謳われた福田師王(神村学園高卒)がボルシアMGに、同じブンデスリーガ・シュツットガルトに加入した大型センターバックのチェイス・アンリ(尚志高卒)は、先日トップチームデビュー。5大リーグへの“直通ルート”が現実のものになっている。
今年も、その道を行く高校生がまた一人、誕生した。
宮崎の強豪・日章学園高校のストライカー高岡伶颯は、今年6月にイングランド・プレミアリーグのサウサンプトンへ加入が内定したことを発表した。「世界最高峰のリーグ」とも言われるプレミアリーグへの高卒日本人選手の加入は、宮市亮(中京大中京高→アーセナル)以来、14年ぶりとなる。
165cmと小柄なストライカーは、なぜビッグオファーを手にすることができたのか。
ただ、速いだけじゃない
高岡の最大の武器は「速さ」にある。シンプルに足が速いはもちろんだが、特筆すべきは相手と味方の動きを把握した上でスピードの強弱、加速するタイミングを操作できることだ。ショートスプリントとロングスプリントを巧みに使い分けることで、相手を錯乱し、ドリブル突破や裏への抜け出しでゴールを陥れる。
さらに、その速さは守備面でも大いに生かされる。相手のビルドアップに対して繰り出す前線からのハイプレスは強烈で、一度剥がされても、二度追い、三度追いは当たり前。剥がされる瞬間に判断を変えて、次のプレス対象に向かえるアジリティーもあるのだから、相手DFにとっては脅威以外何物でもない。実際に相手からボールを奪い取って、そのままゴールを決めるシーンも幾度も見てきた。
スピードスターではなく、スピードの“名コントローラー”とも言えようか。そんな高岡の名が世界に知れ渡ったのが、昨年11月にインドネシアで行われたU-17W杯だった。