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「高校で騒がれても天狗にはならない」宮市亮以来の“高卒→プレミア直行” 17歳高岡伶颯とは何者か? 本田圭佑の系譜を継ぐ“強気発言”の真意 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2024/08/28 11:04

「高校で騒がれても天狗にはならない」宮市亮以来の“高卒→プレミア直行” 17歳高岡伶颯とは何者か? 本田圭佑の系譜を継ぐ“強気発言”の真意<Number Web> photograph by Takahito Ando

プレミアリーグのサウサンプトンへの加入を発表した高岡伶颯(日章学園高3年)。インターハイの試合後、抱負を力強く語った

 ポーランド、アルゼンチン、セネガルという強豪揃いのグループリーグに入った日本だったが、高岡は途中出場ながらスピードとクイックネスを駆使して3戦連続弾を叩き出し、決勝トーナメント進出に大きく貢献した。チームはラウンド16でスペインに敗れたが、強烈なポテンシャルをしっかり示したことで一気に注目株の仲間入りを果たした。

ビッグマウスの継承者

「将来は海外で活躍することと、A代表でワールドカップに出ることが目標」

 高岡は常に目標を明確に言葉する高校生だった。その姿は若き日の本田圭佑や堂安律を彷彿とさせ、その宣言通り、ピッチ上では闘争心をむき出しにして戦う。

「僕は『ぶっちぎれる選手』になりたい。スピード、泥臭さ、フィニッシュの精度などあらゆる面で相手をぶっちぎる。高体連ではそれができていたとしても、プロになったら当然そうはいかなくなると思うけど、まずはこの年代で抜群な選手にならないとその先はない。そうなるためには日々の生活はもちろんですが、練習をしっかりこなして、自分が苦手なことにも目を向けてやっていく。それがいちばんの近道だと思います」

 単に大口を叩くのではなく、常に「なりたい自分」を想像し、それを具現化するために何をすべきか本気で考える。スピードやゴールへの嗅覚だけではなく、高岡が“高校生離れしている”と評されるのは、このあたりのメンタリティも大きく影響していると思う。

「春にサウサンプトンの練習に参加したのですが、そこで前からのプレスや裏へのランニングなど、自分の持ち味であるスピードとアジリティーの部分が、(他の選手よりも)僕の方が大いにあると感じました。前線からのプレスを見せると『ナイス!』と声をかけてもらえましたし、自分の持ち味を評価してくれたからこそ、オファーがもらえたと思っています」

 オファーが来たからと言って、受諾の答えを出すことは決して簡単ではなかった。当然、Jリーグを一度経由してからでも遅くはないという声はあった。彼自身も助言を真摯に受け止めた上で自分と向き合った。

「Jリーグを経由しないと失敗する、成功したいならJリーグを経験した方がいい……そういう意見は理解できますし、それも素晴らしい決断だと思います。ただ、自分の考えとしては、今その評価をもらえているのは光栄なことだし、そのチャンスがいつ来るかなんてわからない。もしかしたらこのチャンスを逃したらもう一生来ないかもしれない。そう考えたときに自分が今そう評価されているのに行かないのはもったいないと思った」

【次ページ】 「先駆者になりたいと純粋に思った」

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