欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「俺って何を言われてもいいキャラになってますよね?(笑)」30歳目前で初のスペイン挑戦…浅野拓磨に漂う“王者マドリー”を食うゴールの嗅覚
posted2024/08/18 11:30
text by
小野晋太郎Shintaro Ono
photograph by
Getty Images
欧州での戦いを終え凱旋先の広島。
目の前には700人の観衆と子供たちがいた。いつもの様に、カタールW杯ドイツ戦のゴールについて質問される。
根は関西人。場を盛り上げる意味もこめてこう答えた。
「『えいっ』と蹴ったら入るよ」
豪快で爽快。いかにも浅野らしいちょっとしたサービストークだったが、今はその一言だけが切り取られる。ネットニュースのコメント欄には、イジったような言葉が並んでいく。
「俺って世間的に何を言われてもいいってなってますよね? ネタキャラっていうか(笑)。でも俺の事知ってる人は分かると思いますけど、実際はめっちゃ色んなことを考えてますよ。ただ子供相手に話すときにそんな戦術まで話すわけないし、必要もないじゃないですか。難しい言葉を並べるよりも、サッカーを好きになってくれたら良いんで、細かいことは良いかなって」
W杯前には前ドイツ代表監督のハンジ・フリック(現バルセロナ監督)について、ドイツのテレビ局に質問され、「……はんじふりっく、なんですか?」と聞き返し、話題となった。
「FWは注目されてナンボ。最後はゴール」
浅野拓磨は、天性の愛すべきストライカーだ。
何でもないシュートを外したかと思えば、次の瞬間にとんでもないゴールをぶち込んできた。
先述のカタールW杯ドイツ戦のゴールは言わずもがな、2022-23シーズンのブンデスリーガ最終節でも残留争いに苦しむボーフムで、強豪レバークーゼン相手に1ゴール1アシストと大爆発。昨季もバイエルン戦でマヌエル・ノイアーからゴールを奪い、降格プレーオフでは0-3の状況を覆す劇的な逆転勝利に貢献。重圧が伸し掛かるPK戦でもしっかりゴールネットを揺らした。
若き日にはリオ五輪出場を決めたAFC U-23選手権の決勝・韓国戦で2ゴールを叩き込み、優勝に導いている。決めるのはいつも、ここぞの場面だ。
「フリックの件とか、ドイツ戦のゴールとか、結局俺が大一番でゴールを決めるってことまでがセットで知られてるんです。だからか分かんないですけど、(現地のテレビ)ハイライトとか俺めっちゃ名前呼ばれるんです。だから、ドイツでも愛されてると思ってます。全部理解できるわけじゃないんですけど、日本の報道より明らかに多いんで。FWは注目されてナンボ。やっぱり最後はゴール。他人に色々言われても、最後に決めればいいって、そこは割り切ってますね」