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根尾昂&藤原恭大が語る「大阪桐蔭“最強世代”強さの秘密…なぜ負けなかったのか?」2人に「西谷浩一とはどんな監督か」と問うと…
text by
間淳Jun Aida
photograph byKatsuro Okazawa / Hideki Sugiyama
posted2024/08/19 17:00
2018年に甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭の根尾昂(左)と藤原恭大
だが、大阪桐蔭ナインは絶体絶命のピンチに陥る最悪の展開も想定していた。慌てる様子を見せずに、2者連続で四球を選ぶ。そして、4番の藤原に打席が回ってきた。藤原は初球を迷わずにフルスイングし、カウント1-1からの3球目もバットを振った。ともにファウルとなり追い込まれたが、そこから粘って四球をもぎ取る。続く根尾はストレートの押し出し四球で同点。さらに、後続の適時打で試合をひっくり返した。藤原が「野球人生で初めて、緊張で手がしびれた」という打席を振り返る。
「スイングするのが怖い場面ですが、3年間やってきたことに自信を持っていました。2死無走者に追い込まれても、ベンチで涙を浮かべている選手は1人もいなかったです。試合後、みんなが『負けるとは思わなかった』と話していました」
大阪桐蔭の最強世代は、圧倒的な力で全国制覇したわけではない。甲子園でも地方大会でも接戦や逆転勝利が多かった。春季近畿地区大会の大阪府予選でも、公立の進学校・寝屋川に9回2死までリードされていたが、逆転サヨナラで勝利した。その試合で決勝打を放った根尾は言う。
「大阪桐蔭では毎日、実戦形式の練習をするので他校とは場数が違います。試合で起こり得るケースを細かく設定し、準備を整えて不安のない状態で試合に臨みます。試合では監督が出す前からサインを予想し、チームで考え方を共有できている面もあります」
2人に同じ問いを投げかけると同じような答えが
高校野球では、イニングごとに監督が選手を集めて指示を出すチームが少なくない。一方、大阪桐蔭の西谷監督が円陣を組むのは、1試合で数回にとどまる。しかも、選手にかける言葉は短い。根尾も藤原も「監督から特別な指示はなかったです」と口をそろえる。試合が始まる時点で準備を終えているため、西谷監督と選手たちはポイントのみを確認する。指揮官が語気を強めるのは、大量リードした展開の時だけ。ゲームセットを告げられるまで油断せず、相手に隙を見せない雰囲気をつくる。
実戦練習の質を高めることで勝利に近づけると選手たちが信じて疑わないのは、西谷監督への揺るぎない信頼があるからだ。西谷浩一とはどんな監督か――。根尾と藤原に質問すると、同じような答えが返ってきた。
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