プロ野球PRESSBACK NUMBER
大阪桐蔭「最強世代」あの夏のことは「正直、1ミリも思い返すことはない」…ロッテの“夏男”藤原恭大の現在地と、今も生きる西谷監督の教え
posted2024/08/19 17:01
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Hideki Sugiyama
夏男――。マリーンズ・藤原恭大外野手を語る時、誰もが口にする言葉である。
大阪桐蔭高校3年時の2018年は甲子園春夏連覇。夏の大会では豪快な3本塁打を放ち、プロ入団後は3年目の21年に7、8月の月間MVPを受賞した。だからだろう。彼の背中には、どうしても夏のイメージがある。
チーム再浮上の起爆剤に
今年も6月28日に一軍昇格すると、7月は22試合に出場し打率.322、1本塁打、12打点。6月に月間負け越しとなったチームが再浮上する起爆剤となった。
ただ、本人にはそこまでの意識はない。
「暑すぎず、バテなければ夏は身体が動くので好きです。でも、本当にその程度。意識はしていません。ただ、やっぱり、夏は暑いので、いかにバテないようにするかが大事かなと思っています」
あの夏の記憶は…
そしてどうしても8月になると夏の甲子園での活躍を思い返し、周囲は当時の事を聞こうとする。本人にとってはもう過ぎ去った過去の話。「特別に思い返すことはないですね。気になることはない」とサラッと言う。母校の結果をチェックしたり、選手食堂のテレビで甲子園の中継が放送されていたら、目をとめるくらいだ。
大阪桐蔭高の当時の野球部のメンバーとも今は頻繁には連絡をとっていない。半分ほどはプロ、社会人でプレーを続けているが、一方で野球を辞め一般企業などに就職している仲間も多くいる。社会人であれば2年目。ようやく会社にも慣れてくるころだ。商社に就職した友人とはプライベートな会話をして、サラリーマンの日常を聞いたりする。
「過去は過去」
「たまにご飯に行こうという話になって、仕事の後はこんなことしているよという話は聞く。楽しんでいるみたいですね」
藤原は想像もできない異世界のことのように話す。